あなたの便秘。原因は?#219

Voicy更新しました!

今回は下痢に対して便秘の話。

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便が出にくくなる「便秘」という症状

前回、前々回と胃腸、特に便にまつわるお話ですが、今回はその便が出にくくなる、便秘というものについてです。

おなかを下す原因も様々あるように、便が出にくくなる原因も様々あります。そして対処法もいくつかあるので、是非知っておいてください。

 

便秘にはいくつもの種類が

便秘は様々な種類がありますが、中でも多く見られる種類として「弛緩性便秘」「食事性便秘」が挙げられます。

まず「弛緩性便秘」の場合は、単に大腸の動くが悪くなって起こる便秘の事です。動きが悪く、長時間とどまってしまい、その間水分もどんどん奪われてしまい、結果的に固く留まり続けるということです。

食事性便秘は、食物繊維が少ないために腸の動きが悪くなり、先述のと同じような仕組みで便秘になっている状態を指します。

こうした便秘は女性で主にみられますが、それはなぜかというと、、筋力がもともと少ないうえ、さらに運動不足が重なることで、便秘となるためです。

また食事量が少ないことで、質の良い便が作られにくくなることで、食事性便秘が起こる、というのも大きな原因です。

 

過敏性腸症候群による便秘は「けいれん性便秘」

以前お話した過敏性腸症候群でも、便秘になることはあります。

この場合の便秘は「けいれん性便秘」という種類です。

ストレス、緊張などの原因で大腸の一部が強くけいれんし、細くなることで便が出にくくなる、という状態です。

もしストレスを感じたときに便が出にくい、たとえ出たとしてもうさぎなどの小動物のような、小さいころころとした固いタイプであれば、この種類の便秘に該当します。

 

便を我慢することが多い方は「直腸性便秘」の危険が

また、便を何度も我慢する、便意を催しても長時間出さないという方は、出る直前のところまで便が来ているのに、刺激が上手くいかず出せなくなる、ということがあります。これは直腸性便秘と言います。

1日に何度も催してもなかなか出ない、少しずつしか出ない、残便感がある場合は、これの可能性があります。これは例えば入院中で上手く排便できない方、寝たきりの方などにも見られるタイプです。

 

ポリープ・がんによる便秘は器質性便秘

そして最後、大腸がん、大腸ポリープなどがあるために便が出にくい、という状態を「器質性便秘」と言います。

何らかの病気によって腸が狭くなっているためで、大きな病気が起きている危険があるので、注意が必要です。

また、イレウスという腸閉塞の可能性もあります。腸閉塞は吐き気や血便など、はっきりと表れるため、無理せず病院に行ってお医者さんに診てもらってください。

 

水分補給・そして適度な運動で腸を動かす

便秘解消へ大切なのはやはり「水分補給」と、「腸を動かす」ことにあります。

水分をとって、便をほぐしながら、おなか周りの筋肉を鍛えて腸を動かしやすくする、といったことが確実です。

ただし、けいれん性便秘はIBSとほぼ同じ対処をしてください。

低糖質、低オリゴ糖の、低フォドマップ食を食べて、便秘の薬は使わないでください。

 

市販の便秘薬は腸を刺激するものと、便を柔らかくするものの2タイプ

便秘解消のためのお薬はいくつか市販されていますが、2つの種類があり、腸を刺激して解消するものと、便を柔らかくして解消するものの2つのタイプがあります。

例えば弛緩性、食事性のものは、先述したように腸の動きが悪くなっているため、腸を刺激することで解消する可能性が高いと言えます。

一方、直腸性便秘は直前までは問題なく行くので、酸化マグネシウムのお薬のような便を柔らかくする薬を使うことで、出しやすくなります。

けいれん性便秘、IBSはストレスへの対処が必要なので、便秘薬を使うのはおすすめできません。

 

このように、便秘は様々な対処法がありますので、不安であればお近くの薬剤師、お医者さんなどに相談してみてください。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属