美肌と免疫の味方?!ビタミンCってどんな役割があるの?#885

体内で作れないビタミンC

今回も、前回に続いてビタミンについてのお話ですが、今回はビタミンCについてです。

ビタミンCはアスコルビン酸とも言われる成分で、水溶性ビタミンのひとつですが、非常に水に溶けやすいという性質を持ちます。

体内にとても蓄積されにくく、余分にとっても尿としてすぐに排出されるうえに、人間の体内ではビタミンCを合成することができないため、食事から摂取する必要があります。

ビタミン全般に言えることではありますが、実はビタミンCは特に注意して、日々の摂取を意識すべき栄養素になります。

今回はこのビタミンCについて、詳しくご紹介しています。

ビタミンCの効果と消費されるタイミング

まず、ビタミンCの最も有名な効能というと、美肌効果だと思います。

これはビタミンCに、肌のハリや弾力を保つために欠かせない、コラーゲンというたんぱく質の生成を助ける働きがあるのが一因で、これによって、美容目的での摂取が広く行われています。

そしてもう一つ強いのが抗酸化作用で、老化や生活習慣病の原因となる活性酸素を除去する役割もあり、さらに加えて免疫力を高める効果があるため、風邪や感染症の予防としても活用されます。

そしてビタミンCは、単に摂るだけではなく、どのような時に消費されるかも知っておくのがベストです。

例えば、喫煙や強いストレス、過労といった状況では、体内で大量に消費されてしまうため、実は慢性的にタバコを吸っている方は、常にビタミンCが不足しがちと言えるのです。

日本人の1日あたりに推奨される摂取量はおよそ100mgとされており、美容や健康維持を目的とする場合は400mg程度が目安とされています。

ただ、例えばドラッグストアなどで販売されている「C1000」などのドリンク1本には、すでに1000mgのビタミンCが含まれているものもあるため、そうしたものを使うと簡単に摂取できます。

また、サプリメントなどで2000mg近く摂取することも可能ですが、あまりとりすぎると腹痛や下痢などの症状が出る場合もあるため、注意してください。

実は自分も昔、メガビタミン療法と言い、たくさんビタミンCをとったら風邪もひかなくなって元気になる、というものを実験的にやってみたら、お腹を下して大変な目に遭ったこともありましたので、摂りすぎないのがおすすめです。

ビタミンCが不足すると

ビタミンCが不足すると、まず現れやすいのが肌荒れや疲れやすさです。

特にコラーゲンの合成に影響が出るため、肌のハリや弾力が失われ、見た目にも影響が出ます。

また、免疫力も低下するため、風邪や感染症にかかりやすくなるリスクも上がり、さらに深刻なケースでは、「壊血病(かいけつびょう)」という病気が発症することもあります。

壊血病とは、出血や傷の治癒の遅れ、歯茎の腫れなどを引き起こすという病気で、中世の大航海時代などに、船乗りたちの間で見られた病気です。

ビタミンCを含むレモンやライムを摂取することで予防できると分かってからは、壊血病は劇的に減少しましたが、現代においても極端な偏食や極端なダイエットをしている方には、起こり得る病になります。

また、ビタミンCは鉄分の吸収を助ける作用もあるため、貧血予防の観点でも欠かせない栄養素になります。

ビタミンCの効果的な摂り方

ビタミンCは、一度に大量に摂るよりも、こまめに何回かに分けて摂取するのが理想的です。

水溶性ビタミンですので、摂りすぎてしまうとすぐに排出されてしまうため、一度に摂っても効率が悪いのです。

目安としては、1回あたり100から200mg程度を、朝・昼・夜・間食・就寝前などのタイミングで分けて摂ると、1日を通して安定してビタミンCを体内に供給することが可能です。

食事での摂取は、主に果物や野菜にビタミンCが多く含まれていますが、中でもキウイやイチゴ、柑橘類の果物、ブロッコリー、赤ピーマンなどは含有量が高く、日常的に取り入れやすい食材になります。

調理の際は、ビタミンCが熱や水に弱いため、生で食べるか、加熱しすぎないようにすることがポイントです。

市販のジュースやサプリメントを使うのも便利ですので、ライフスタイルに合わせて、摂っていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属