ダイエット?リラックス?アンチエイジング?脂肪(オイル)の正しい活用法#625

「脂肪」を利用してダイエットを

ダイエットにおいて一番にやり玉に挙げられるのが、脂ものの食事や、脂肪という成分です。

ですが、脂肪は体の中にエネルギーを貯めておく装置としては非常に優秀で、また体温を維持するのにも役立ち、良い役割も様々あります。

さらには最近、「MCTオイル」を飲んでダイエットするという手法も出てきました。

今回はこれまでのダイエットにも関連っする、オイルや脂分にまつわるお話しをしていきたいと思います。

最近話題の「MCTオイル」・「CBDオイル」

まず最初に出て来たMCTオイルですが、これは正式には「中鎖脂肪酸油」と言います。

「中鎖」というのは簡単に言うと真ん中ぐらい、という意味で、種類で言うとココナッツオイルやパームオイル、バターの脂分などのことを指します。

MCTオイルは体内に入ると最初に肝臓に直接取り込まれるため、脂肪として細胞に留まることがありません。

体内に入った後、すぐにエネルギーとして変換されるため、少量の食事で多分にエネルギーが摂れるという油なのです。

通常、脂肪は運動しても1回で30分ほど有酸素運動を続けなければ、運動によっては脂肪が燃えることは無い、と言われますが、MCTオイルは摂ってすぐにエネルギーになるため、自然とエネルギーを使いやすい体質に変わって行き、結果として徐々にですが痩せやすい体質になっていきます。

ただし、MCTオイルはそもそものカロリーが高い上に、MCTオイルだけで食事を終えられることはありません。

MCTオイルと併せて、他の脂分やお米などの糖質類も普通の食事として食べると、それらは使われないため、脂肪として体内に蓄えられることになります。

ですのでMCTオイルを使う場合は、摂る糖質の量をしっかりと減らして、エネルギーはMCTオイルの脂分と体内にすでにある脂肪分で補う、という風に意識してください。

副作用的なものとしては、脂分ですのでお腹がゆるくなりやすく、下痢しやすくなるため、摂りすぎには注意してください。

リラックスに効果的なCBDオイル

もう一つのCBDオイルは、こちらは海外で美容や健康に効果的として人気を集め、特にリラックス効果があるオイルとなります。

大麻草という植物に含まれる「カンナビジオール」という成分が主です。
大麻草(タイマソウ)は文字通り、違法薬物の大麻、マリファナのことですが、成分が違います。

カンナビジオールという成分はストレスを緩和させる効果や、リラックス効果、不眠の解消に役立ちます。

カンナビジオールともう一つ、略称でTHCとなる「テトラヒドロカンナビノール」という成分は中毒性がある成分で、気分がハイになるなどの効果があり、こちらは違法薬物に指定されています。

大麻草にはこの両方が含まれているため、日本では大麻草は違法薬物となっていますが、カンナビジオールだけを抽出して作った製品は安全性が認められていて、違法ではないため日本でも流通しており、製造も日本のものがいくつかあります。

ただ、海外製の輸入のCBDオイルにはTHCが入っていることがあり、こちらは完全に違法となり、危険ですのでCBDオイルの輸入は避けてください。

また体質的に合わず、アレルギー反応が出ることもある上に、グレープフルーツジュースのように一部のお薬との飲み合わせが悪く、危険なことがあるため、CBDオイルを試す場合は一度薬剤師に相談してください。

健康のために意識してとるべき必須脂肪酸

ダイエットの話に戻りますが、ダイエットに役立つ脂と言えば、オメガ3脂肪酸が有名です。

必須脂肪酸の一つ、魚の脂に含まれているDHAやEPAのことを指します。

正式にはDHAが「ドコサヘキサエン酸」、EPAが「エイコサペンタエン酸」と言います。

もう一つ、えごま油に含まれるα-オレイン酸もオメガ3脂肪酸で、いずれも栄養学においては健康のために意識してとるべき必須脂肪酸として、体にとって非常に重要な栄養となっています。

DHAもEPAも、脂分ですが血中のコレステロールや中性脂肪の値を下げるという効果があり、血液をサラサラにするのに役立ちます。

さらにお肌のたるみやしわの予防の効果もあるため、老化を遅らせるアンチエイジングに役立つとも言われています。

サプリメントではアンチエイジング目的で、医療用では動脈硬化予防として、DHAやEPAが活用されています。

医療用の商品名で言うとロトリガとか、EPAが主成分のエパデールというお薬があり、これらは実際に現在でも処方されることがあります。

医療用のとサプリメントのとでは、こういったオメガ3脂肪酸の含有量が全く違い、単純に3倍ほどの差があります。

オメガ3脂肪酸の医療用のお薬はいくつか零売もされており、当薬局でも取り扱いしています。

ちなみにEPAは体脂肪を減らす効果が高いため、運動との相性が非常に良いという特徴があります。

オメガ3脂肪酸はいずれもMCTオイルと同じく、たくさん摂りすぎると下痢しやすくなったり、魚の脂ですのでお腹から上がってきたときにちょっと魚臭い感じがするので注意してください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属