バリウム検査と胃カメラって何が違うの?#571

Voicy更新しましたっ!
今回は年末の健康診断に合わせて、バリウム検査と胃カメラのお話

健康情報を声で聞ける!
医療・健康ナビ なくすりーなはこちらから聞いてみて下さいね^^v

健康診断に欠かせない「胃の検査」

今回は久々にcovid-19関連ではなく、年末に行う健康診断に関連して「胃の検査」のお話です。
忘年会、新年会シーズンに入り、外でのお酒を飲む機会も去年よりは多いかと思われます。
今回は健康診断において非常に重要な、胃の2種類の検査についてお話ししていきたいと思います。

バリウムで検査をする

まず古くから現在でも用いられていて、有名なのが「バリウム」を使った検査です。

バリウムという真っ白い液体を飲んで、食道から胃への流れ方や胃腸の中での動きをレントゲン撮影して、確認します。

流れが良くないところや、不自然に避けている部分があれば、その部分に何らかの凹凸や腫瘍、ポリープといったものが出来ている恐れがある、と判断できます。

バリウムと言えばその味ですが、実は味がおいしくないことにはれっきとした意味があります。

人間がおいしいと感じると胃酸が多く出てしまったり、胃の動きが活発になり、正確に判断できないのです。

逆にまずい、おいしくないものを食べると食欲がなくなり、胃腸がそれほど動かない状態になります。

動いていない時に、バリウムを行き渡らせることで、中にある影がくっきりと見えるようになるのです。

ただ、それでも飲めなければ検査ができないため、今ではバニラやチョコ、いちごなどある程度の風味が付いているバリウムもありますが、どんな風味でも非常においしくないです。

バリウム検査は胃カメラよりも安価で正確な上に、短時間で完了するという利点があります。

胃カメラはお医者さんが付かなければできませんが、バリウムが放射線技師さんが行うため、コストがある程度抑えられます。

逆にバリウムは固まってしまうと問題があるため、必ず下剤を飲んで早めに排出するよう促します。ですので便秘の人にとってはこの作業が大変で苦しいことがあります。

また、レントゲンを使うため妊婦さんの健康診断にはあまり向いていません。

胃カメラで検査をする

次にもう一つの胃カメラによる検査ですが、文字通りのカメラによる映像ですので、カラー映像で一目瞭然で確認できます。

バリウムはあくまでもレントゲンを通して、凹凸や腫瘍が確認できるというものですが、胃カメラは粘膜の様子、荒れ具合が確認できますので、ピロリ菌の有無まで把握できます。

さらに、食道から十二指腸あたりまで映像が映し出されるため、食道の荒れ具合から逆流性食道炎のリスクも分かります。

前述のようにバリウム検査は凹凸が確認できるだけですので、何らかが見つかった結果、精密検査として胃カメラによる検査をする、ということも良くあります。

全部胃カメラで済みそうですが、体にかかる負担がバリウムよりも重たく、コストもかかるというデメリットがあります。

口ではなく鼻からカメラを入れるとか、麻酔をしっかりとかけるなど様々な方法がありますが、いずれも基本的に苦しく、少しハードルが高いタイプになります。

またお医者さんが行う必要があるため、出来る人数が限られてしまい時間もコストもその分かかってきます。

全般的には胃カメラの方が優れている

これを踏まえても、バリウム検査と胃カメラ検査では、胃カメラ検査の方が若干優れています。

精密検査となったら胃カメラを使うように、もし胃腸に何らかの不調がある場合はバリウムではなく、胃カメラできちんと確認します。

しかし、胃カメラは負担もコストも重いという欠点があります。

もし症状が無い場合とか、年1回の健康診断、人間ドックをする場合ではバリウム検査がおすすめです。

また、実は粘膜の下で起きるスキルス胃がんは、バリウムの方が分かりやすいという一面もあります。

バリウムは全体像の確認、ふるい分けで、精密検査と確定診断には胃カメラ、と言う風にするのが一番確実と言えます。

ちなみに、胃カメラでピロリ菌がいることが分かった人は、胃がんのリスクが普通の人の150倍あるので注意してください。

除菌もできますが、一度ピロリ菌が住み着いた胃は普通の人の50倍の胃がんのリスクがあるため、除菌をしても必ず年1回は胃カメラをして、胃がんの検査をするのがベストです。

年数は諸説あり、除菌をして10年後に胃がんが見つかったというケースもあるため、出来るだけ年1回は受けるようにしてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属