防災の日っ!災害時の医療はどうなってるの?#349

 

Voicy更新しましたっ!

今回は、前回に続いて防災のお話と、災害時の医療について

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冬の避難生活で気を付けること

前回、災害時のお薬のお話と、最後の方で夏場の避難生活で熱中症に気を付けるように、とお伝えしました。

もう一つ、冬を迎えたときの災害、冬に避難生活を送ることになった時に、注意するべきポイントと、実際の医療についてを、いくつかご紹介していきます。

 

衛生管理をしっかりと

夏冬共通の事ではありますが、避難所はどうしても、家と比べると不衛生になりがちな場所です。

単純に、避難所に来たたくさんの人が、数少ないトイレを使うことになる上、長引けば掃除当番の割り当てもできますが、短期間だとなかなか決まらず、少し汚れたまま仕方なく使う、というケースも出てきます。

避難中という事態ですので、健康や衛生についてはどうしても後回しになりがちですが、できるだけしっかりと消毒をするとか、手をしっかりと洗ってから食事をする、ということをしてください。

自分も消毒薬のウェルセプトを持ち歩いており、少しかさばりますが、軽いおしぼりやアルコールを持ち歩いて、何かあった時でも清潔な手にできるようにすると、風邪やノロウイルス、インフルエンザを予防できるのでおすすめです

 

寒さをしのぐために

熱中症の真逆で、冬場は体温を維持するための策が必要です

前回も、体育館は冷房が効きにくいとお伝えしましたが、これは暖房でも同じく、なかなか温度が高まりにくい環境になります。

また体育館の床は冷たくなりやすく、横になってもなかなか寝られないということがあります。

防寒靴や温かいスリッパがあると便利です。また床にダンボールを1枚敷くだけでもかなり寝心地が違うようですので、余っているダンボールがあれば使ってみてください。

 

災害時の医療とは

災害時の医療ですが、まず「防災計画」という物が各地域ごとに作られています。

行政やお医者さん、消防署の方など防災時に動く職種の方で決めており、医療ではその地域の病院さんと薬剤師はもちろんですが、お年寄りや身体障がい者の方を輸送できる車両を持っている、介護タクシーの事業者の方も参画するケースがあります。

そう言った方が集まり、災害時にどういう風に動くかを決めておくのが、災害計画です。

できるだけその決め事通りに動いて、地域の方をスムーズに避難、サポートするのです。前回紹介した「災害拠点連携病院」もこの一環で決められます。

また災害時には、災害時医療派遣チームという「DMAT」も派遣されます。

災害から48時間以内にその被災地へ送られるチームで、48時間という時間は一番患者さんが多い時間で、この時間の患者さんを充分に支援するために、派遣されます。

およそ100時間ほど経つと、被災地の地元の支援がある程度回復するため、100時間を目安で一旦任務を終えて、解散します。

 

心のケアのための医療チームも派遣される

そして現在、DMATではなく災害派遣精神医療チーム、という隊もあります。

アルコール依存症の状態で避難所生活が始まってしまった、というような方のサポート、支援ももちろんですが、被災して家族を亡くされてしまった方の心のケア、さらに長時間救出活動などに従事してきた医療従事者、警察、自衛隊と言った方の心のケアも行う、精神医療を必要とする全般の方に対して支援できる、精神医療チームです。

これは72時間以内に派遣されますが、DMATと違って任務終了の時間が全く決められていません。心のケアはどうしても時間がかかるため、期限を決めずに活動するという特徴があります。

 

薬剤師の活動

災害時の薬剤師の活動ですが、先述のDMATでも派遣されますが、DMATが活動終了した以後も、薬剤師会を中心に被災地で活動することがあります

物資として集められた薬を分類して、必要なところにいきわたるようにするのも薬剤師が行います。

例えば被災時は、一時的に様々なチームが編成されます。

DMAT以外にも、病院ごとに固まりが出来るので、各病院に満遍なく薬が行くように、流通を管理する、という活動があります。

また、以前もお伝えしたように、お医者さんがなかなか使わないお薬でも、知識があるため代用の薬を提案して患者さんに渡すといったことができ、お医者さんと患者さんの間に入ってつなげるというような、役割分担もできます。

平時の業務に近いですが、災害時にもこうしたことが出来ます。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属