質問よりっ!アデノウィルスってなんなの?#336

Voicy更新しましたっ!

今回は頂いたコメントから、手足口病とは違う「プール熱」の原因となる「アデノウイルス」のお話。

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プール熱の原因となるアデノウイルス

前回、手足口病のお話でしたが、今回は「プール熱」のお話です。

手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱の3つが、夏に流行る「三大夏風邪」と言われていますが、先日こんなコメントが届きました。

「三週間くらい前に、自分も5年ぶりくらいに高熱、なかなか止まらない咳、タン、喉の痛み、体のダルさを経験しました。あれはただの夏風邪ではなく手足口病だったのかと?しかし、湿疹、口内炎などはほとんど無かったと思うんですが・・」というものです。

これはおそらくですが、手足口病ではなく「プール熱」かもしれません。

なぜかというと、アデノウイルスによって起きている症状、と似ているためです。

 

プールだけで感染するものではない

始めに、たまにニュースで「プール熱に注意」、と言われることがありますが、これはウイルスが原因ですので、プールだけで感染する、という物ではありません

もっと言うと、プールでプール熱にかかることは現在ではほとんどありません。

なぜかというと、ひと昔前まではプールの塩素消毒が不十分だったためです。

消毒が不十分ということは、ウイルスがまん延してしまい、発熱するとか、目で炎症が起きて結膜炎になるなどが起きていました。

現在ではプールに入っている塩素による消毒がが保たれるようになっています。

 

アデノウイルスの中でも約50種類もの数が

アデノウイルスはプールに関係なく存在するものです。

しかも大量の種類があり、全部で約50種類に分かれる、とされています。

例えば、3型は前述のような結膜炎と発熱や喉の痛みが起き、3型のアデノウイルスによる症状が、俗に言う「プール熱」になります。

また8型のアデノウイルスは流行性結膜炎という、いわゆる「はやり目」を起こすタイプもあります。他にも胃腸炎や膀胱炎、扁桃炎を引き起こすものがあり、それらを含めると約50種類にも上る、ということです。

ほとんどの型に共通しているのは「発熱」「のどの痛み」です。

手足口病と同じくお子さんにかかりやすいですが、プール熱の場合は保育園や小学校に上がる頃の年齢が多いです。

また大人の方でも、手足口病と同じくかかることはあります。少し前に市川海老蔵さんもアデノウイルスにかかってしまい、少し休まれた、ということがあったと思います。

もし、お子さんが前述の3型か8型のアデノウイルスにかかった場合は、学校保健法で休むことになっていて、症状が引いてから2日間は休むと決められています。

いわゆる出席停止になるので、お子さんがいる方は特に注意してください。

 

アデノウイルスかも、と思ったら

手足口病と同じくウイルスによるものですので、体の免疫力で治すほかありません。早く休んでしっかり睡眠をとる、そして栄養と水分を充分とることが必要です。

しかし、のどの痛みが強く出るのがアデノウイルスの特徴なので、一度かかってしまうと、ご飯を食べるのが難しい、という事があります。

それでも、どうにか水分だけは欠かさず、こまめにとってください。発熱もあるため、一段と水分が失われてしまいます。

だいたい1週間ほど熱が続くとか、水分が摂りにくいという状態が続いた場合は、お医者さんに診てもらってください。

また、のどの痛みが強くて本当にほぼ何も食べられない飲めないと言うときは、早いうちに病院に行って点滴などで水分や栄養を取るようにしてください。

 

溶連菌は抗菌薬が効く

ちなみに、発熱と喉の痛み、という点で関連している「溶連菌」というものがあります。

溶連菌は抗菌薬が効くため、病院に行って抗菌薬を処方してもらうと、治ります。

もし、お子さんが強いのどの痛みと発熱が同時に起きている場合は、早めに病院に行って、アデノウイルスか溶連菌かを判別するのも手です。

 

プール熱の対策は、手足口病と同じ

このプール熱の対策は、アデノウイルスにかからないようにする、という事が必要なため、対策も手足口病と全く同じになります。飲みうがいをする、手指をこまめに石鹸で洗う、消毒をするとか、消毒用のアルコールを使うことを心掛けてください。

目に症状が出るのが大きな特徴ですので、同じタオルを使わないと言ったことを気をつけてください。

さらに、手足口病と同じく感染した場合は1か月ほどは、ウイルスが排出されてしまいますので、もしかかった方がいたらより強く、消毒することやこまめにタオルを変えることを意識しましょう。

アデノウイルスは感染力が割と強めで、たまに「夏のインフルエンザ」と呼ばれることもあります。

これからの時期、特に気を付けてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属