健診用語の基礎知識シリーズ!コレステロールって何?#310

Voicy更新しましたっ!

今回は前回の中性脂肪に関連して、コレステロールについて。

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コレステロールとは

今回は前回の中性脂肪と同時に語られやすい、コレステロールというものについてです。

コレステロールも数字で表され、高い低いと言われるものですが、中性脂肪と同じように全てが体に悪いというわけではありません。

HDLが善玉コレステロール・LDLが悪玉コレステロール

前回で少し触れましたが、コレステロールには善玉と悪玉があります。

善玉を総コレステロール値をT-chol、といいます。

T-chol、HDL、LDLは全て健康診断の時に、検査項目の中に正確に表されます。

そもそもコレステロールとは、簡単に言うと脂分の一つです。コレステロールはエネルギーとして使う脂分ではなく、細胞を仕切る膜を作るとか、男女それぞれの特徴のある体を構成する性ホルモン、副腎皮質ホルモンを作るという役割があります。

さらに油に溶けやすい栄養を逃さず吸収させる胆汁の原料もコレステロールです。

こうした働きがあるので、体にとっては絶対欠かせない栄養の一つですが、取り過ぎてしまうと悪影響になります。

悪玉と善玉が、それぞれを助け合う

悪玉と善玉の意味は、それぞれの働きにあります

コレステロールは最初に悪玉となって、体の隅々まで行きます。そこで胆汁になるとか、細胞の膜を作るなどで消費していきます。

しかし、取り過ぎてしまうと、その悪玉を使い切れない、ということがあります。

そこで、その悪玉コレステロールを善玉コレステロールが回収します。

回収することで血管の流れが良くなり、体内が健康な状態になる、という事です。

逆に言うと善玉が不足すると悪玉がどんどん体内に溜まっていき、どろどろ血液になるとか、脳梗塞などの原因になります。

こうしたことから、善玉と悪玉のバランスが何より必要という事が言われます。

コレステロール値が異常になると

このバランスが明らかにおかしく、異常な状態になると様々な悪影響になります。

具体的には、悪玉が高すぎる、低すぎる、善玉が低い、という3つがコレステロールの数値異常として表されます。

悪玉が多いという事は前項のように血管に負担になるので、動脈硬化となり、脳梗塞や心筋梗塞の引き金となります。

これは言い換えると、悪玉は普通でも善玉は低い、という場合でも同様の事が起きます。

一方で、悪玉が異常に低く、善玉が多い場合は、重度な肝臓病や甲状腺の病がある可能性があります。

具体的に数値にすると、悪玉コレステロールは血液1デシリットルあたり70から130mg以内、善玉は同じくで40から70mgが正常です。

コレステロール値を正常に保つためには

コレステロールは脂分ですので、やはり食事がカギを握ります。

食べるものを考えることが、コレステロール対策になりますが、実は前回の中性脂肪の対策が、コレステロール対策に直結します

なぜかというと、中性脂肪が増えると悪玉が増え、減ると善玉が増えるという相関関係があるためです。

なので、前回お話したような食事はもちろん、軽い運動で中性脂肪を減らしていくのも非常に有効です。

和食を中心に、タンパク質はお魚や豆類から主にとるようにして、炭水化物は少なめに、お酒は減らしてお肉の脂分は控える、と言ったことをしてみてください。特に、前回もお話したようにお魚の脂やごま油は脂分でありながら、中性脂肪を減らす働きがあるので、是非、試してみてください。

運動は直接コレステロールに影響するものではありませんが、中性脂肪を減らすためにはとっても効果的です。

コレステロールは体質によるところもある

ただ、中性脂肪との一番の決定的な違いが、体質によってはなかなか下がらない、という部分です。

実は人の体は、コレステロールを作り出すという働きがあります。

細胞膜や性ホルモンの素となるため、必然と言えばそうですが、この働きの個人差によって、正常な値まで行かないという人が存在します。

体質によるため、どれだけ食事制限をしても、習慣づけて運動をしたとしてもなかなか下がらないという事があるのです。

もしその場合は、お薬で治療ができますので、病院で治療することも検討してみていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属