小学校内でアタマジラミが流行したとき
先日、小学校内で養護教諭をされているという方からコメントを頂きました。
昨年、校内でアタマジラミが流行して大変だったという経験から、アタマジラミについて知らないことが多かったので、薬剤師さん目線での解説を、というものです。
アタマジラミというと、昔の話のように聞こえたり、不潔だから起こる、というイメージを持つ方も少なくないと思います。
今回はこのコメントからアタマジラミについてまとめてみたいと思います。
アタマジラミとは
まず大前提として、最初に知っておいてほしいのは、頭ジラミは不潔だから発生するものではない、ということです。
言い換えれば、毎日お風呂に入っていても、きちんとシャンプーをしていても、うつる時はうつるもので、発症することは充分あります。
ですので、万が一アタマジラミが起こった際に、ちゃんと洗っていないから、というように注意したりなじるようなことは決してしないでください。
見つけた場合はしっかりと治療を開始して、治るまで続けてください。
発生についてですが、アタマジラミの発生源はかなり分かりにくいという特徴があります。
お子さん同士は大人よりも距離が近くなる場面が非常に多く、遊んでいる時はもちろん、写真撮影の場面や、スマホの画面を一緒にのぞき込むとか、さらに小さいお子さんだとお昼寝の時間などで、頭と頭が近づく機会が多くなります。
こうした特徴により、アタマジラミは幼稚園や保育園、小学校低学年を中心に広がりやすいのです。
当然ですが、帽子やタオル、くし、寝具などの共有でもうつることがありますので、充分注意してください。
アタマジラミの正体
アタマジラミとは、簡単に言えば人の頭髪に寄生する小さな虫です。
頭皮から血を吸って生き延び、その刺激によって頭皮のかゆみが発生します。
起こるかゆみには個人差があり、人によってはアタマジラミがいてもかゆみがほとんどなく、気づかないということもあります。
見つかりやすい部分としては、耳の後ろ、襟足、後頭部で、白っぽい小さな粒が髪の毛にしっかりと付着している場合は、フケではなくアタマジラミの卵の可能性があります。
単なるフケであれば、手で軽く払うだけで落ちますが、アタマジラミの卵は髪の毛に強力にくっついているため、簡単には取れません。具体的に言うと小さな米粒を髪の毛に糊で固定したような感じがアタマジラミの卵です。
成虫になるとさらに小さく動きも速いため、実際には卵が髪についた時点で気づくケースがほとんどです。
このアタマジラミは寄生虫の一つですが、病気を媒介することはなく、普通の蚊に刺された時のように、血を吸われた刺激でかゆみが出るだけです。
ただし、かゆみからかき壊してしまって頭皮がただれたり、炎症を起こしたりすることはありますので、放置するのは避けてください。
万が一家庭内でアタマジラミを見つけたときは、発症した方一人だけを治療しても、家族や集団内でうつし合ってしまうことがありますので、見つかった時は本人だけでなく、家族全員や集団全体で対策することが必要です。
アタマジラミがわかった時は
実際にお子さんなどで、園や学校でアタマジラミが出たので確認してください、と言われた時は、まず家族全員の頭皮頭髪をしっかり確認してください。
兄弟姉妹はもちろんのこと、一緒の布団で寝ている親御さんも含めて注意が必要です。
耳の後ろや襟足、後頭部を、髪の毛をかき分けて、ライトを使ったり明るい場所で丁寧に見ていくと、卵が見つけやすくなります。
成虫や幼虫であれば普通のシャンプーである程度洗い流せますが、卵の場合は非常に強く付着しているため、目が細かい専用のすきぐしを使って取り除く必要があります。
髪を少しずつ分けながら、根元から毛先へゆっくりとかしていく作業が必要になるため、髪の長いお子さんだと時間がかかりますが、丁寧に続けていただければと思います。
そして当然、タオル、帽子、ブラシ、くし、寝具など、頭に触れるものの共有は避けるようにしてください。
頭ジラミ駆除用の市販薬として有名なのがスミスリンシャンプーで、薬局だとほとんどのところで常備され、販売されているかと思います。
はじめに頭髪をお湯で軽く洗った後、スミスリンシャンプーを毛の生え際まで含めて頭皮全体にしっかりと行き渡らせて、5分ほど置いてから洗い流します。
使う頻度は3日に1回程度で、合計3回から4回ほど繰り返すと、髪にくっついた卵が2〜3日でかえったタイミングで再度駆除するということができ、完全に死滅させることが可能になります。
特に、アタマジラミで皮膚科を受診したとしても、大半のケースだと薬局でスミスリンシャンプーを購入してください、と案内されるだけで終わることがほとんどなのです。
かいてしまって炎症やただれが強い場合で、ステロイドローションなどが処方されることもありますが、基本的にはスミスリンシャンプーを使うことがアタマジラミの治療となるのです。
アタマジラミは誰でも起こり得るものと認識すること
最後に、一番大切なことは犯人探しをしないことです。繰り返しになりますが不潔だからうつるものではなく、誰からうつったのかを追及しても、感染が早く収まるわけではありません。
アタマジラミは誰でもうつる可能性があるものとして、冷静に集団で対策することが終息のカギになります。
見つけた場合には、学校や園にきちんと連絡して、クラスや学年単位で確認や対応を進めてもらう必要があります。家庭だけで対処しようとしても、別の場所から再び感染してしまうことも当然あります。
そして、タオルや寝具は共用せずに、使う人を分けるようにしてください。
頭ジラミは病気を媒介するわけではなく、頭同士が接触しなければ広がりにくいため、登園や登校については園や学校ごとのルールに従う必要がありますので、もしお子さんで見つかった場合は必ず連絡していただければと思います。
