便秘や下痢は何故起こる?大腸の働き!#559

Voicy更新しましたっ!

今回は前回の小腸のお話に続いて、大腸のお話

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小腸の後ろ、肛門につながる腸が「大腸」

今回は前回の小腸に続いて、大腸についてです。

位置としては小腸の後ろの部分で、肛門につながっている腸の事を指します。

文字通り、小腸に比べて大きいのが特徴ですが、一応小腸のように部分ごとに名前と役割が分かれてます。

それが「盲腸」「結腸」「直腸」の3つです。

どれもわずかに聞き覚えがあるかもしれません。

今回はこの大腸について詳しく掘り下げて行きます。

 

結腸で水分を吸収して、一番最後に残ったかすを直腸に貯める

大腸の仕組みを簡単にまとめると、小腸と盲腸を経たあと、結腸で水分やミネラルを吸収します。

どういうことかというと、この時に小腸から送られてきた便はまだ水分を多く含んでおり、状態としてはほぼ水のような形です。

そこから、結腸でゆっくり進みながら、水分やミネラル類を吸収していきます。

一通り必要な分を吸収しきって、最後に残ったかすが、便となって直腸に貯められ、ある程度貯まったら肛門から排出される、という流れです。

ちなみに、盲腸について省略していますが、この部分は割と興味深く話すことが多かったので、今回は割愛して次回、盲腸だけにフォーカスして触れていきたいと思います。

 

大腸には小腸の100倍の腸内細菌が

前回、小腸の腸内細菌は1兆個で、乳酸菌などが働くとお伝えしましたが、この大腸で働く腸内細菌はおよそ100兆以上あるとされています。

そして前回も軽く名前が出たように、大腸では主にビフィズス菌や酪酸菌という善玉菌が働きます。

ビフィズス菌は悪玉菌が不必要に増えすぎないように調節する役割があります。

もう一つの「酪酸菌」は、大腸でかなり大事な働きをしている善玉菌です。

大腸の中は、全体に分厚い粘膜が張っています。

大腸は小腸と違って全体的に、便が通る部分ですので、外から入って来た様々な雑菌やウイルスが中に含まれている可能性があります。

これが大腸の壁に直接触れてしまうと、体内に入って何らかの悪影響を与える恐れがあるため、大腸の粘膜の壁はかなり分厚くできています。

これは俗に「大腸バリア」と言われるほど強力な壁ですが、これを作るために働いているのが酪酸菌なのです。

酪酸菌が減るということは、この壁が薄くなることにつながり、大腸の調子が悪くなる、ひいては体全体の悪影響に及ぶということです。

 

便が大腸内でとどまる状態が「便秘」

タイトルにもある便秘についてですが、少し前の219回でも触れておりますが、大きな定義としては「何らかの原因で便が大腸内にとどまっている状態」のことです。

この主な原因はいくつかあり、例えば大腸の動きが悪くなって便が動いていかない、といったことがあり、これを正式に「弛緩性便秘」と言います。

また、食事の量が少ないためそもそもの便の量が少なく、便が出ない状態を「食事性便秘」、ストレスや緊張によって大腸の一部がけいれんしてしまい、便が送りづらくなる状態を「痙攣性便秘

そして、便を無理に我慢することが何度も続くと、便を出すという刺激が伝わりにくくなって、結果的に出にくくなってしまった状態が「直腸性便秘」、最後が大腸内にあるポリープなどが原因で大腸内が細くなり、便が送りづらくなっている状態を「器質性便秘」と言います。

以上が主な便秘の原因ですが、基本的にはいずれも「水分を多くとる」ことが最大の便秘解消策です。

それ以外だとやはり、大腸の動きを良くしていくことが大切です。

これは例えば腹筋運動をしておなかの筋肉を鍛える、腰回りの筋肉をほぐすことも便秘の解消に大きくつながります。

ただ痙攣性便秘は精神的なものですので、ストレスに向けて対処することが大切です。

もし、ストレスが原因だとわかっている状態で、下剤のような便秘のお薬を使うと、余計に下痢になってしまい大腸や体全体に大きなダメージになるなど、かえって悪化する恐れがあるので、ストレスそのものを改善するようにしましょう。

 

下痢は、体が水分を吸収しきれなくなった状態

次に下痢についてですが、下痢も218回の方でお話ししていますが、主な原因は単純に「胃腸が水分を吸収しきれなくなった」ために起きます。

目安としては、短時間で1Lほど急に摂るとそれ以上は吸収されず、便に含まれてしまい、下痢になると考えてください。

吸収しきれなくなるという状態は、単に水分やアルコールのとりすぎという以外でも、例えば胃腸炎や食中毒で、胃腸で水分を吸収する働きが落ちたために、下痢となることもあります。

これは以前から食中毒の回などでも度々触れていますが、食中毒やノロウイルスによる下痢は、無理に止めずに出し切る必要があります。

病原菌やウイルスによる下痢は、体内から菌を外に出そうとしているために起きている反応ですので、無理に止めてしまうと治りが遅くなり悪化していきます。

ですので、その場合は水分とミネラルを補給しながら、下痢が止まるまで出し切るようにしてください。

例えば、以前のノロウイルスの回などでもお伝えしたように、OS-1のような経口補水液は、水分もミネラルも多分に含んでおり、吸収も極めて素早いため、下痢で体の水分が失われているときに非常に役立ちます。

これを15分ごとにキャップ1杯分ほど、ゆっくり飲むようにして、乗り切ってください。

 

おなかを冷やさないように

小腸、大腸、どちらも重要なのが、冷やさないようにすることです。

おなかが冷えると下痢も便秘もしやすくなりますので、特にこれからの季節はアンダーシャツや腹巻きを使って保温するとか、もちろん暖かい食べ物や、しょうが、スパイス類をとって中から温めるのももちろんおすすめです。

ただ、あまり辛すぎるものだと逆に刺激になってしまい悪影響ですので、ほどほどに、適度な量を食べるようにしましょう。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属