ワクチンの接種状況!私の順番はいつ頃?#513

Voicy更新しましたっ!

今回は、ついに日本でも本格的に接種が始まったワクチンの最新情報について

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高齢者へのワクチン接種がスタート

いよいよ本格的にワクチンの接種が始まりつつある今、自分が住んでいる茨城県の古河市でも、医療従事者の一人としてワクチンの準備のお手伝いをさせてもらっています。

スケジュールとしては、ざっくり言うと7月いっぱいで高齢者へのワクチン接種が完了できるかどうか、という点があります。

そしてその前となる、医療従事者へのワクチン接種は、すでに各自自体へ2回分送られたため、すでに接種は始まっており、遅くても再来週あたりには、一先ず医療従事者への接種が完了する見通しで、実際自分も2回目の接種を終えている状況です。

 

4月5日から各自治体へ送付

高齢者向けのワクチンは、日本に到着次第順次、各自治体へと送られており、およそ1か月前の4月5日ごろから配分が始まっています。

そして6月末ごろには1回目の配分が完了して、各自治体で接種会場の取り決めがされたり、予約がスタートしていきます。

そしてすでにニュースになり始めているのが、予約が取れないとか、会場、接種場所の選り好みの問題です。

例えば自分の古河市の場合では、高齢者向けに土日に接種できる、大規模接種会場があり、平日は基幹病院で接種会場を設ける、という方式になっていますが、平日に病院で受けたいという方のほうが圧倒的に多く、病院での接種の予約は8月にずれ込むほど埋まっています。

一方で、土日の専用の大規模接種会場では、まだ空きがあるようです。

また古河市の隣の野木町では、町内の各病院で接種できる体制を整え、行きつけの病院などで問題なく予約が取れる仕組みにしていますが、どうしても評判の良い病院、人気のある病院に予約が集中してしまい、こちらもスケジュールが上手くまとまっていないとされています。

7月末までに一通り打ち終わるとしたら、この接種予約の仕組みは相当上手くまとめないと、非常に難しいと思えます。

 

ワクチンの「打ち手」の問題

もう一つ、接種会場で実際にワクチンを接種してくれる人、打ち手となる医療従事者の問題ももちろんあります。

単純に、土日の専用の接種会場で働く方は、いわゆる休日返上という形で作業をする必要がある上に、病院での接種でも通常の診療の合間に行うことになるため、業務量は大幅に増えることになります。

現在の古河市の状況では、2000人のワクチンが打てる会場を大規模接種会場としていて、その場では10人の方が打ち手となって、住民に対してワクチンを打っていますが、これでもギリギリできるかどうかという形です。

これでギリギリだと、もっと人口の多い大都市だとさらに時間がかかるはずです。

そしてあまりに時間がかかると、ワクチンの使用期限となる6か月以内に、打ち切ることも難しい可能性すら出てきます。

そこで一つ、産業医さんというお医者さんを活用する案が出ています。

大企業の中には小規模な病院があったり、病院までではなくとも、その会社で働く方の健康診断を請け負ったり、身体的、精神的な相談を引き受ける専門のお医者さんがいますので、こうした方を活用して、ワクチンの打ち手を広げるという手です。

ただ、産業医さんが会社の中にいるというのは、あくまでも大きめの企業でのことで、一般的には産業医と自分の診療所を持ち、兼業でやっていることが多いので、それほど一気に打ち手の数が増えるという事はおそらくありません。

またもう一つ、専用の研修を受けた歯科医も接種することが出来るようにするという取り組みを、兵庫県の神戸市が行っていますが、実はこれは医療法的には完全にアウトなことで、いわゆる「超法規的措置」となります。

歯科医さんは全国的にも数が多いので、もしいくらか協力があれば、改善の余地はあると思います。

スピードアップという点で言うと、海外の例では薬局で薬剤師が打ち手になったり、さらには一般の人でも研修を受けることで、他人にワクチンを打てる、という仕組みを整えているところもあります。

さすがに一般の人にまで広げる必要はなさそうですが、非常に深刻な災害とも言える事態なので、一刻も早くワクチンの接種スピードを上げるとしたら、神戸市のような超法規的措置もある程度は必要だと思います。

 

打ち手以外の問題

そして、以前からお伝えしているように、ワクチンは超低温で保存する必要があるなど、打ち手以外も様々あります。

現在、最初に書いたようにワクチン本体は自治体で管理しているところが多く、各市町村の職員が取り扱っているところが大半です。

そこで、情報の行き違いやヒューマンエラーで、ワクチンが廃棄になるケースがすでに起きており、おそらく今後も起きることが予想されます。

薬剤師は薬の取り扱いに長けており、温度管理も日頃から充分に経験があるため、薬剤師を活用出来れば単純なヒューマンエラーは限りなく無くすことが出来るはずです。

ちなみに、古河市では実際に、市と薬剤師会で連携してワクチンの管理体制を作っていますので、不用意な取り扱いをしないような仕組みを整えています。

そして温度管理ともう一つ、ワクチンを打てる状態にする、充填するという処置がまず最初に必要になります。

ほとんど報道もされないため軽視されていると思いますが、この処置には意外に時間がかかります。

特に、1日に1000人単位で接種することになる、大規模接種会場では接種が開始される前に、事前準備として行う必要があり、結構な時間を割くことになります。

大規模接種会場であれば、おそらく打ち手と同じぐらいの数の、充填を担当する方も必要になります。

現在は打ち手となる看護師とともに、薬剤師も充填を担当していますが、もし打ち手不足ということでどちらも一旦は打ち手に回るとしたら、結果的に数が足りなくなり時間がかかります。

ですので、ここも一つの超法規的措置として、薬剤師が監督責任者となって研修を受けた一般の方、地域の方にワクチン充填をお手伝いしてもらう、という風にすると接種のスピードを高められるはずです。

現状のペース、仕組みだけで言うと、高齢者の接種は8月末ほどまでかかると思います。その後、一般の成人の方に打つことを考えると、年内にギリギリ、1回打てるかどうかというところだと思います。

接種のスピードを高めるために、政府は様々な面から、対策を講じていただければと思っています。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属