折れない!くじけない!骨折のリアルと今日からできる回復予防術#937

もしも骨折をしたら

先日、voicyのブログ化担当が骨折され、しばらく自宅療養となるという話がありました。

実はvoicyでもこれまで、骨折について取り上げたことが無いようで、今回はこの件から骨折についてまとめて行きたいと思います。

骨折の種類

骨折というと、骨がポキッと折れるようなイメージを持つかと思いますが、実はひびが入った状態や、お年寄りの背中が曲がったような状態も骨折の一つになります。

まず、最も一般的な、転倒や強い衝撃によって骨が折れるというのは外傷性骨折、折れずともひびが入った状態は不全骨折と言い、日常生活の中でも起こりやすいタイプです。

そして、マラソンランナーなど運動をする方に多いのが疲労骨折で、同じ部位に繰り返し負荷がかかることで生じる骨折ですす。

交通事故のような、強い圧力などによって皮膚を突き破るように、骨が外に露出してしまうのが開放骨折で、非常に深刻な状態ですのですぐに救急対応が必要です。

また、高齢者に多いのが、骨粗鬆症によって骨がもろくなり、軽い転倒や日常の動作で起こるのが脆弱性骨折で、中でも大腿骨や背骨の骨折は寝たきりの原因にもなりやすく、注意が必要です。

もう一つ高齢者に多い、背中が曲がった状態ですが、これは圧迫骨折という種類になります。これも骨粗鬆症によって背骨が変形してしまい、そのままになっている状態です。

圧迫骨折は背中に起きている痛みを骨折によるものだとは思わず、治療せずに放っておくことで、曲がったままくっつき、結果として背中が丸まってしまうのです。

放置された骨折が招く変形治癒と慢性痛

治療については後述しますが、骨は一度折れてしまうと自然にまっすぐ治るものではありません。

適切に処置をしないで、ずれたままくっついてしまうと変形治癒を起こします。

前述した圧迫骨折によって背中が大きく曲がった高齢者の多くも、治療せずに放置したことで、背骨が潰れたまま固まっていることが少なくないのです。

また、骨がずれてくっつくと痛みが長引くことはもちろん、神経や血管を圧迫して、慢性的な痛みやしびれを引き起こす可能性もあります。

もし、骨折が疑われる場合は早めに整形外科を受診する」ことが大切ですが、一先ずの応急処置としては、患部を動かさずに固定して、氷などで冷やすと、炎症と腫れを抑えられますので、痛みも軽減され回復を促せます。

骨折を早く治すために必要なこと

骨折の回復を早める鍵は、固定、安静、栄養、睡眠の4つです。

まずは固定で、これはお医者さんによる処置になりますが、正しい場所に戻してギプスなどで固定をするのが基本の治療です。

固定したまま数週間ほど過ごして、骨が安定してからは、徐々にリハビリで筋肉と関節を動かし、血流を促していくと、骨が正しい位置でつながり、強度も回復していきます。

逆に言えば、固定をして自然に回復することを待つ以外に出来ることはありませんが、栄養補給として、タンパク質をしっかり摂ることを心がけてください。

骨というとカルシウムやリンが思い浮かびますが、骨折をした場合は骨の土台となる、タンパク質のコラーゲンが重要になります。

ですので、まずは土台作りとして、体重60kgの場合だと1日およそ90g程度を目安に、1食30gで1日3食、肉や魚、卵、大豆製品などからバランスよくタンパク質を摂ってみてください。

その上で、カルシウムやビタミンDを十分に補うのがベストになります。

逆に、ニコチンやアルコールは骨の再生を遅らせ、アルコールの過剰摂取も治りを妨げます。

また、痛み止めも必要以上に使い続けると、骨の回復を遅くすることがあるため、お医者さんと自分の痛みと相談しながら、減量していくのが理想的です。

最後に大切になるのは、やはり睡眠になります。

疲労回復ももちろんですが、骨の修復も睡眠中が最も大切ですので、可能であれば1日7時間はとるようにしていただければと思います。

骨折を防ぐ「強い骨」をつくるために

最後に骨折の予防についてですが、やはり骨を丈夫に保つための生活習慣が大切になります。

日々の食事から、骨の材料となるタンパク質を毎食意識的に摂って、カルシウムやビタミンDも適度に取り入れるようにするのがベストです。

朝はパンだけ、昼はうどんだけ、といった、エネルギーだけの食事だとタンパク質は大幅に不足しますので、そこにヨーグルトやチーズ、ゆで卵、サラダチキンなどをプラスするだけでも、骨づくりの助けになりますので、是非意識してとってみてください。

日頃から骨を強くするために欠かせないのが運動で、特にウォーキングは全身の筋肉を使うためとてもおすすめです。

理想は1日30分から40分で、週5日程度を目標に続けるのがベストで、テンポは1分間に130歩前後が望ましいですが、、自分の体力に合わせて、続けられる範囲で無理なく歩くことが大切です。

速いテンポで歩いてしまうと、逆に怪我のリスクが高まりますので、注意してください。

また、健康診断や薬局では、骨密度を測ることができますので、自分の骨の状態を知るのも予防の一つになります。

もし骨粗鬆症のリスクが高いと思われる場合は、早めにお医者さんに相談して、骨粗鬆症の治療を検討してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属