夏にリスクがある血栓症
夏は熱中症のリスクが注目されがちですが、実は「血栓症」も起こりやすい季節です。
血栓症とは、血管の中に血の塊ができ、それが血流を妨げてさまざまな症状を引き起こすという病の総称です。
血栓ができる場所によって病気の名前や重症度は異なり、例えば有名なエコノミークラス症候群も血栓症の一つで、正式には足の静脈にできる深部静脈血栓症と呼ばれます。
また、血栓が肺へ行くと肺塞栓症が、脳や心臓の血管に行くと脳梗塞や心筋梗塞といった病へつながります。
いずれも命に関わる可能性がある病気ですので、不安がある方は是非今一度気を付けて見てください。
血栓症の原因とリスク要因
血栓ができやすくなる要因のひとつが脱水で、水分が不足すると血液が濃くなり、固まりやすくなります。
また、長時間同じ姿勢で過ごすこともリスクで、座り仕事や長距離移動の際に足の血流が滞ると、深部静脈血栓症を発症しやすくなります。
そして当然、肥満や喫煙、糖尿病や高血圧といった生活習慣病も血栓を招く原因となります。
血栓症は特に40代以降の女性は注意が必要で、ピルやホルモン補充療法を受けている方は血栓リスクが高まるとされています。
治療と予防の基本
血栓症の治療は、血液を固まりにくくする薬や血をサラサラにする薬を使います。
心筋梗塞や脳梗塞のような救命に関わる場面では、緊急的に血栓を溶かす薬を使う場合もありますが、軽度のケースでは一般的なお薬で治療していきます。
ただし、重症の場合は入院をしての処置が必要になります。
ちなみに予防策に、前述の深部静脈血栓症、エコノミークラス症候群用に着圧ストッキングを利用するという手があります。文字通りストッキングですので、履くことで血流が改善され、血栓の予防が期待できます。
病院に行く症状の目安としては、足のむくみがあります。
エコノミークラス症候群の場合、片足だけが不自然にむくんだり、腫れや痛みが起こる場合は血栓の可能性がありますので、注意してください。
もし胸の激しい痛みやろれつが回らなくなるなどは、脳梗塞や心筋梗塞と言った重大な病の恐れがありますので、その際は救急車を呼んでいただければと思います。
日常でできる血栓症対策
最後に基本的なことになりますが、血栓症を防ぐためには、やはり日常生活の中での改善が大切になります。
例えば夏場は汗で水分を失いやすいため、こまめな水分補給を心がけるとか、長時間同じ姿勢を避けるように意識して、デスクワーク中でも1時間に1度は立ち上がって歩いたり、座ったままでも足首を上下に動かしたりすることで、血流を促すことができますので血栓の解消に役立ちます。
そしてやはり、バランスの取れた食事、禁煙、適度な運動も欠かせません。
特にふくらはぎの筋肉は、体の中でも第二の心臓とも呼ばれ、ウォーキングなどで鍛えとより血流が改善され、血栓予防につながりますので、普段からストレッチ程度でも運動していくと良いかと思います。