マイクロプラスチックやナノプラスチックで起きる問題は?#874

環境問題となるマイクロプラスチック

先日コメントにて、マイクロプラスチックやナノプラスチックについてのものをいただきました。

マイクロプラスチックとは、5mm以下の小さなプラスチック粒子のことで、ナノプラスチックは1㎛、1,000ナノメートル以下の極小サイズのプラスチックです。マイクロプラスチックは辛うじて肉眼で確認できますが、ナノプラスチックは肉眼では確認できないほど微細な粒子になります。

これらのプラスチックが問題視されているのは、自然界でほとんど分解されず、環境中に長期間残り続ける、という点です。

有機物は微生物によって分解されて最終的に分子レベルになりますが、マイクロプラスチックやナノプラスチックはこれ以上小さくなりにくく、環境汚染の原因となるのです。

今回はこのコメントから、人体への影響もあるプラスチックについて、少しご紹介していきたいと思います。

人体へ及ぶ影響

マイクロプラスチックは、一次マイクロプラスチックと、二次マイクロプラスチックに分けられます。

一次マイクロプラスチックとは、最初から小さなサイズで製造されたもので、例えば化粧品のスクラブ剤や洗剤などに含まれているようなものになります。

二次マイクロプラスチックとは、ペットボトルやビニール袋などの大きいサイズのプラスチック製品が、紫外線や摩擦などの影響によって細かく砕かれ、マイクロプラスチック化したものを指します。

日本周辺の海域のデータでは、世界平均の27倍ものマイクロプラスチックが存在すると言われています。

マイクロプラスチックがさらに小さくなったナノプラスチックは、例えば魚の体に入り、それを食べることで人体へと入っていく可能性があるうえ、当然ながら軽いため空気中を通じて体内に侵入することもあります。

人間に与えるリスク

人体に入ると、消化器官を通じて血液に入っていきますので、全身に影響を及ぼす可能性もゼロではなく、例えば肺に取り込まれると炎症となったり、喘息や呼吸器系の疾患を悪化させるリスクもあります。

また腸内細菌のバランスが崩れて消化不良や免疫力の低下を引き起こすとか、内分泌系に影響が出て、ホルモンバランスの乱れの原因となることもあります。

ただ、そうしたナノプラスチックやマイクロプラスチックが与える健康リスクはまだ研究段階の部分も多く、大々的に発表できるレベルではありません。

もし不安に思うことがあれば、少しずつでも対策していくのが良いかと思います。

マイクロプラスチック・ナノプラスチックによる健康被害を避けるために

マイクロプラスチックやナノプラスチックを体内に取り込まないための対策としては、やはりまずはプラスチック容器の使用を減らすことが第一です。

例えば、買ってきた食品や飲料はすぐにガラス容器やステンレス容器に移し替えて、電子レンジで温める際にはプラスチック容器を使わないようにするのも手でえす。

プラスチック容器のまま温めると、食品に溶け出ることがあるため、確実に避けたい場合は耐熱ガラス容器などを活用するのがおすすめです。

また、ペットボトルの飲料も当然、ナノプラスチックの発生源ですので、ペットボトル容器の飲料は避けて、浄水器を使用した水や、その水を活用したお茶などを飲むと、マイクロプラスチックの摂取量は減っていきます。

また、空気中のナノプラスチックを減らすために、空気清浄機の活用するというのも有効な対策となります。

現時点では、マイクロプラスチックやナノプラスチックの健康リスクについて、はっきりとした明確な結論は出ていませんが、もし不安な場合は、無理のない範囲で対策するのも良いかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属