眠りにくい時の対処法
冬になると、眠れないという患者さんが増える気がしますが、それは実際に日照時間が短くなり、睡眠のリズムが狂うのが一因になっているためです。
睡眠のリズムは、朝起きたときに日光を浴びることで調整され、およそ12時間か14時間後に眠気が訪れる仕組みになっています。
しかし、冬になると日の出が遅く、朝の光を浴びる時間が短くなるため、体内時計がずれやすくなります。また、寒さによるストレスや気圧の変化も、もちろん睡眠の質に影響が出ます。
そうした眠れないとき、睡眠薬を使うかどうかという問題があります。
まったく眠気が無くても、頑張って寝ようとするのは、健康にもあまり良くありません。
今回は久々に睡眠と、睡眠薬というお薬について、少しまとめていきたいと思います。
睡眠リズムが乱れる原因
まず、そもそも人間は、眠ることで脳を休ませ、回復するようにできています。
例えば人間以外だと、右脳と左脳を交互に使うなどで、眠らずに常に起きている状態における、という動物もいます。
人間においては、眠っている時に脳を回復させ、記憶の定着や整理なども行うとされており、人間にとって睡眠は、非常に重要な意味を持っています。そして、先ほどに少し重なりますが、睡眠には一定のリズムが必要になります。
そのリズムが乱れる主な原因は、冬特有の日照時間の短さと同時に、ストレスや不安、考え事などの精神的な要因が大きくなります。
自律神経の回にも重なりますが、簡単に言うと活動を促す交感神経が優位になると、リラックスを促す副交感神経が働きにくくなり、眠りに入りにくくなります。
これはスマホやパソコンのブルーライト、カフェインやアルコールの摂取によっても交感神経に影響が出るため、睡眠の質を低下させる要因になります。
そして、生活習慣の乱れ、加齢による自然な睡眠の変化も影響を与えます。
眠れないのは、一時的なものであればあまり問題ありませんが、長期間続く場合は何らかの病気が隠れていたり、服用しているお薬の可能性などがあるため注意が必要です。
睡眠薬の必要性と注意点
今回の本題とも言える睡眠薬ですが、睡眠薬は依存の可能性があって、なるべく使いたくないと考える人も多いと思います。実際に心理的にも、飲まないと眠れない、という思い込みが生まれることもあり得ます。
睡眠薬の使用については、市販の睡眠薬を長期間、自己判断で使用するのは避けてください。市販薬に依存する成分は入っていませんが、長期間続けるとまさに飲まないと眠れないという心理になり、結果的に依存につながります。
睡眠薬は、一時的な不眠であれば、市販薬や酸棗仁湯(さんそうにんとう)のような漢方薬を使うのがおすすめです。
短期的な不眠とは、例えば一時的にストレスが激しくかかったり、時差ボケを起こしているような場合で、そうした際は睡眠薬を使うのがベストです。
また例えば、痛みがあって眠れないときは、痛み止めを使って痛みを止めますが、それだけでも眠れないときは、睡眠薬を使うのも手です。
そうしたときはお医者さんの指示も必要になりますので、相談していただければと思います。
睡眠薬を使う場合は、短期にとどめることを意識しましょう。
病院で睡眠薬を処方してもらうべきケース
最後に、病院で睡眠薬の処方を受ける目安についてですが、1週間以上不眠が続いているときや、日中の生活に支障が出るほど眠気や疲労を感じる場合は、お医者さんに相談してみてください。
また、不眠の原因が、精神的なストレスやうつ症状と関連している可能性が高いときは、市販の睡眠薬ではなく、精神科や心療内科での治療が必要になってきます。
また、途中で何度も目が覚める、寝ても疲れが取れない、病気や更年期障害などが影響していると考えられる場合も、専門のお医者さんに行くのがベストです。
一口に不眠と言っても、寝付きが悪い、入眠が難しい場合や、夜中に目が覚める中途覚醒などの種類があり、同時に睡眠薬にもさまざまな種類があり、効果の持続時間や作用の仕方が変わってきます。
もし睡眠について何かあれば、睡眠外来もありますので、もし近くにあれば相談してみてください。