火傷のケア!早く治すにはどうする?#712

火傷は素早い治療が肝心

先日、火傷の患者さんが来られて、すぐに処置したら早く治った、というお話になりました。

火傷は治っても痕が残ることが多いですが、素早く治療できると非常に早く、そして痕も残らずにきれいに治る可能性もあります。

ちなみに実はvoicyでは火傷だけを取り上げた回が無かったため、今回は火傷について詳しくまとめていきたいと思います。

熱によって皮膚や粘膜に障害が起きた状態

火傷とは、簡単に説明すると熱によって皮膚や粘膜に何らかの障害が起きる怪我のことを指します。

その熱は、温度とそれに触れていた時間によって、程度の度合いが変わってきます。

例えば高温のものであれば一瞬でも触れたら水ぶくれが出来るなどの症状が起き、50度ぐらいであれば触れても一瞬で症状が出ることはありませんが長時間触れていると皮膚が赤くなるなどの症状が出ます。

ほかには電撃傷と言い、熱ではなく雷などの電流によって皮膚や粘膜に傷がつくのも火傷の一種になります。

さらには酸や水酸化ナトリウム、アルカリといった化学物質に触れてしまったような傷は厳密には熱ではないものの、化学熱傷という火傷の一つに分類されます。

火傷の程度

一般的な、熱による火傷の程度は1度熱傷、2度、3度と分けられます。

1度は水ぶくれも無く、少し赤くなるだけのもので、長くても2,3日程度で治るタイプの火傷になります。2度は水ぶくれができるタイプで、痛みがある水ぶくれだと軽い2度、痛みがない水ぶくれは皮膚の深いところまで熱が行っているため重い2度となります。

最後の3度が皮膚が真っ黒になってしまうもので、非常に深刻なタイプの火傷になります。

応急処置としては、程度にかかわらず熱に触れたらすぐさま冷やすことに尽きます。

冷たいもの、冷やせるものであれば何でも大丈夫で、氷でなくとも水道水に当てるだけでも充分効果はあります。

ちなみに、体の広範囲にお湯をかぶったなどの場合で、服を脱いで冷やそうとするケースが多いですが、その場合は服は脱がさずに、そのまま服の上から全体的に水をかけて冷やすようにしてください。

理由としては、一つは1秒でも早く冷やすことが大切ですので、脱ぐ必要がないためです。

もう一つは、火傷はお湯がかかった部分だけを冷やしがちですが、実は症状としては全体的に広がっていて、冷やしていない部分が重傷になる恐れがあるため、服を脱がずに全体的に水をかけて冷やすのが安全なためです。

特にお子さんの場合だと、一旦服を脱がしてから冷やすという方が多いですが、その必要はありません。

あまり長時間冷やしすぎると体温が下がってしまうこともありますが、もしもの場合はとにかく冷やすことが何よりも大切です。

水ぶくれは自分で破らないこと

そして、水ぶくれが出来る2度熱傷の場合ですが、この水ぶくれは自分では破ったりせず、この場合も冷やし続けて自然と消えるのを待つようにしてください。

水ぶくれを破ってしまうとそこから菌が入って化膿してしまい、治りがどんどん遅くなるとか、治った後に傷跡にもなりやすいため、気になるのはわかりますが触れないようにしてください。

冷やす時間は1度も2度の場合も、およそ15分から30分程度は冷やし続けることをおすすめします。

手足の指先の火傷の場合は、とにかく長い時間冷やすと症状が軽くなりやすいことが分かっています。

火傷は皮膚の中で熱を持っている限り、皮膚の中で症状が進行していくため、長時間冷やして熱を奪うことが重要です。

そのため例えば指輪や時計、ブレスレットのようなアクセサリー類も外して、冷える面積を増やすとより効果が上がります。

化学熱傷も水で洗い流す・電撃傷は病院へ

熱以外の火傷についてですが、まず化学熱傷の場合も流水で30分以上は洗い流して応急処置をしてから病院に行ってください。

電撃傷の場合は、電流による火傷以外にも、何らかの損傷が体の中で起きている可能性があるため、もし電撃傷が起こるほどの電気が流れたというような場合は必ず病院に行って相談してください。

可能であればステロイドの軟膏を塗る

火傷はとにかく冷やすことが最大の応急処置になりますが、冷やした後にもし可能であればステロイドの軟膏を塗って炎症を防ぐことができればなお良いです。

ステロイドと、菌を殺すような化膿止めが一緒に入っている軟膏があると便利ですが、病院に行くと決めた場合は、軟膏を使わないほうが良いです。

お医者さんによる処置の後、適したお薬を処方してくれるので、薬を塗らずに冷やしただけの状態で行くのがベストです。

最後に、3度の場合はすぐに病院に行くことはもちろんですが、1度や2度の明らかに軽い火傷という場合でも、広範囲にわたる場合は、冷やして応急処置をした後、皮膚科の病院に行って診てもらうのが確実です。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属