突発性難聴の治療は【リスナーからの質問】#668

突発性難聴とは

先日、コメントにて「突発性難聴と診断された」というものを頂きました。

お薬を処方され、飲み切るころには良くなった感じがしたものの、再度症状が出始め、なかなか治らず不安になっているようです。

突発性難聴とは、文字通りある日突然起きる難聴で、明らかな原因が不明な病の一つです。

今回はこの突発性難聴についてまとめて行きます。

突然、耳の聞こえが悪くなる

突発性難聴の症状は、基本的には片側に起こることが多いです。

片方の耳が全く聞こえなくなったり、少しは聞こえるがこもる感じがするとか、問題なく聞こえるもののなんか違和感がある、などのように症状の程度は大きく差があります。

また難聴だけではなく、耳鳴りやめまいと言った症状も同時に起こることもあります。

年代は男女問わず40代から50代の働き盛りの中年の方に起きやすいという傾向があり、何らかの原因によって音を感じ取る細胞が壊れ、耳の機能に影響が出ているとされています。

壊れる原因は何らかのウイルスによるものや、血流の悪さなどが挙げられますが、未だはっきりしたことは解明されていません。

一般的なストレスや睡眠不足、さらには糖尿病も関わっている説もあります。

突発性難聴は早期発見が大切で、早く治療できればすぐ治りますが、治療が遅れると治りが遅くなるどころか、治らずに症状がずっと続く恐れもあります。

突発性難聴は何度も起きない

突発性難聴の大きな特徴が、一度発症して症状が治まったら、再度起こることはほぼ無いという点です。

何度も起こる場合は、似ている別の病の可能性があります。

突発性難聴と似ている病気は二つあり、急性低音障害型感音難聴とメニエール病です。

まず急性低音障害型感音難聴は、比較的若い女性に多く、耳が詰まった感じがする、水が入った感じになるとか、音が歪んだ感じでおかしく聞こえるなどの症状が出ます。

ただし、めまいなど聞こえ方以外の症状は出ません。

これもストレスや睡眠不足が引き金と言われていますが、詳しい原因は不明です。

もう一つのメニエール病は、片側の耳の耳鳴りや難聴とめまいが同時に起こるという病で、メニエール病のめまいは頭がぐるぐると回る感じがするタイプのめまいが起こります。

これも原因がはっきりしておらず、内耳にリンパ液が多く溜まってしまい、耳を圧迫してめまいや難聴の症状を起こしているとされていますが、リンパ液が増える原因は未だ不明です。

メニエール病は特に繰り返しやすいのが特徴ですが、いずれの場合もはっきりした原因の特定は難しく、症状も似ています。

自己判断はほぼ不可能ですので、もし耳の聞こえが悪くなってきたと心当たりがある場合は、早めに病院に行くことに尽きます。

早めに耳鼻科へ行くこと

原因が分からず、自力での対処の仕方もほぼ無いため、もし耳の聞こえがおかしいと感じたら、すぐに耳鼻科のお医者さんに診てもらってください。

いずれの場合も、症状が出てから1週間以内に治療ができれば40%の割合で完治して、50%の割合で改善が見られます。

治療を始めてから1週間程度で徐々に効果が出て治ってきますが、治療開始が遅れると効果が下がり、完治せずに症状が残ってしまうことがあります。

ですので、不自然に聞こえがおかしくなったらすぐに耳鼻科さんに行ってください。

痛みが無いため気のせいな感じがして、放っておいたら治ると思いがちですが、前述のような病であればそういったことは決してありません。

繰り返しになりますが耳の聞こえがおかしいと感じたら、早めに耳鼻科のお医者さんに診てもらってください。

おそらく、コメントの方のケースだと、最初は突発性難聴で、その後急性低音障害型感音難聴が一部重なって起き、再度症状が出たという可能性もあります。

飲んでいるお薬も特に問題はなく、突発性難聴の場合ではよく使われるお薬で、長期的に飲んでも問題はありません。

とはいえ、あまり長期的に飲むのは不安と言う気持ちも分かります。

その場合は、治療の一環と思って、生活習慣を見直してみてください。

ストレスや睡眠不足はやはり大敵ですので、そういったものを対策してみてください。

漢方については、自律神経の不調による難聴などであれば、漢方薬で大きく改善する傾向があります。

例えば、難聴やめまいと共に頭痛や動悸も一緒に起きるとか、イライラする感じがある場合は、漢方薬でそういった症状が全体的に和らぐ可能性があります。

種類で言うと「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」や「五苓散(ごれいさん)」がおすすめですが、いずれも症状が適していないと効果が無いどころか逆に悪い影響が出る恐れもあります

以前からお伝えしているように、漢方薬は症状や体質に合わせて、適したものが大きく変わって来るため、難しい部分もありますので、もし興味があれば漢方に詳しいお医者さんや薬局に相談に行くのがベストです。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属