まちがうと大変!うつ病と双極性障害#459

Voicy更新しましたっ!

今回は、これまで度々出てきた「双極性障害」に関するお話

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「躁うつ病」と呼ばれていた「双極性障害」

今回は、直近でお伝えして来た、ストレス、適応障害、うつ病の回の中で度々出てきた「双極性障害」というものについてです。

双極性障害は、一昔前には「躁(そう)うつ病」と呼ばれていたもので、抑うつ気分の状態と、その逆に、気分がとても高揚している躁状態を、激しく行ったり来たりする病態です。

今まで触れてこなかった、抑うつ気分の逆、躁状態についても、詳しくお伝えしていきます。

 

普段では考えられないぐらい「活動的」になる

何回かにわたってお伝えして来たのは、基本的には「抑うつ気分」が主な要素になります。

重いストレスがかかることで動けないぐらい疲れが来るとか、何をしても楽しめない、と言うようなことでしたが、この双極性障害はその逆で、「躁状態」という、高揚する感じになるのが最大の特徴です。

具体的にどういう事かと言うと、普段よりも明らかに「活動的」になるような状態です。

例えば、普段は寝ている時間なのに全く眠たくならず、活発に活動したくなるとか、そのときに色々なアイデアが生まれたり、やりたいことがどんどん出てくるなどです。

またあるいは、冷静に考えたら無理があることような無謀な計画を立てて、すぐ実行してしまうとか、衝動的に大きな買い物をしてしまう、というのも一つの症状です。

得ます。

またもちろん、家族と同居していれば、同じように迷惑をかけることになります。

躁状態では通常のうつ状態と違って自死のリスクはありませんが、このように社会的な信用、生活の基盤に重大な損害が出る危険があるのです。

 

うつ・躁を繰り返す「双極性障害」

この躁うつと、これまでお伝えして来たうつ状態が、交互にやってくるのが双極性障害です。

ちなみに躁状態には2種類あり、前述のは一般的な躁状態ですが、それよりも少し軽度な、軽躁と言う状態もあります。

周りに迷惑をかけない程度にテンションが高く、また睡眠時間も短くなって活動的になる、というような状態ですが、これとうつ状態を繰り返すと同じように双極性障害です。

なぜ躁とうつの両方を繰り返してしまうのか、双極性障害の原因はまだ完全にはわかっておりませんが、脳の異常や遺伝の要素が影響しているのでは、という見方が強いです。

これは言い換えれば、双極性障害は心の悩み、不調ではないということです。

通常のうつ病、適応障害は重度なストレスを受けることで発症する病ですが、躁とうつが激しく行ったり来たりする双極性障害は、ストレスが直接的な原因ではありません。

なので、双極性障害は個々人の性格に関係なく、どんな性格の人でも発症する危険があります。

ストレスを受けることで悪化することは間違いないですが、双極性障害になる根本的な原因は、一般的なうつ病とは少し違うので、注意してください。

 

双極性障害は薬での治療ができる

双極性障害はお薬で治療していくのが主です。

前述のように、外からのストレスや性格によって起こるのではなく、脳や遺伝によるところが大きいので、お薬を使ってコントロールして治療をして行きます。

ただ、これまでも何度もお伝えしていますが、やはり一番大事なのは、正しい診断にあります。

そしてこの双極性障害は、正しく診断するのがこれまでのうつ病や適応障害よりもさらに難しくなっています。

簡単に言うと、双極性障害は繰り返しになりますが躁状態とうつ状態を繰り返す病ですので、うつ状態の気分の時にお医者さんにかかるとうつ病と診断されてしまい、うつ病の治療がメインになります。

抗うつ薬や認知行動療法を行うことになりますが、これは双極性障害の治療にはなりません。

実際に、かなりの期間抗うつ薬を飲んでいるのに、症状が良くならない事が頻繁にあり、そこで初めて双極性障害と分かったという事も珍しくありません。

データでは、精神科医さんがまとめたもので、うつ病と思って受診してきた人の16%は双極性障害だったという事も言われています。

何回かお医者さんに診てもらうだけで双極性障害と分かることは、精神科医さんでもかなり難易度が高いことなのです。

 

双極性障害への対処

時間はかかりますが、うつ病のお薬をもらってそれをしばらく飲んでも治らない、というところで再度精神科の専門のお医者さんにかかって、事情を説明して診てもらうのが確実かと思います。

しかし、このお薬を飲み続けるということすらも難しいのが、双極性障害です。

なぜかと言うと、うつの時は調子が悪いことが自分でもはっきりわかるため薬を飲みますが、躁状態は病気の自覚が全くなくすっきり治ったと思ったり、自分を取り戻したととても充実した気分になり、薬を飲むのを簡単にやめてしまいます。

これで結果的に治るのが遅くなり、悪化していきます。

なので、家族や親しい知人、同僚のような周囲に人がいる場合であれば、そう言った兆候があった時に出来るだけ病院につなげていただくと、治療が継続できますが、それも言うまでもなく非常に難しいです。

まず兆候としては、急に大きな衝動買いが増えたとか、睡眠時間が短くなって活動時間が明らかに長くなった、などがあります。

そして当然、「病院に行って見たら」と何気なくアドバイスしても、全く聞き入れないのも一つの兆候です。

そこから自分なりに、病院に上手くつなげられる例を考えてみると、まず疲れがあるか心配だから、体のために診てもらうとか、健康診断でも行ったら?、という風に、心ではなく体の問題としてお医者さんにかかるように促す手があります。

また、目上の人や当人が凄く信頼を置いている人から促すのも、聞き入れやすい傾向にあります。

一方のうつ状態の時の対処ですが、これは通常のうつ病と同じで、少し前のアーカイブの457回も併せて聞いてみて頂ければと思いますが、頑張れというような励ましは同じく厳禁です。

そして双極性障害の場合では、躁状態の時の言動を責めない、触れない、という事を留意してください。

躁状態の時に起こした行動は当人はしっかり自覚していて、うつ状態の時にそのことを激しく後悔したり、そのことについてとても苦しんでいる状態にあります。

ですので、気軽に会話する感覚で何気なく触れてしまうと、うつ状態にある場合ではそのことがきっかけで自死に至ることも充分あります。

一般的なうつ病と同じように、優しくサポートして、お医者さんへの受診を促すのが良いかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属