Voicy更新しましたっ!
今回は9月下旬現在の、covid-19のお薬についてのお話
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アビガンがcovid-19に「適用範囲拡大」
今回は少し進展があった、covid-19へのお薬として有力視されている、アビガンのお話です。
アビガンが来月に、インフルエンザの治療だけではなくcovid-19への治療にも使えるように、申請がされます。
このことを適用範囲拡大、と言いますが、覚えている方もいるかもしれませんが、実は以前アビガンについてはcovid-19への効果があまり確認できなかった、という事が分かっています。
今回はこのことについて、詳しく掘り下げていきます。
アビガンにまつわる実験
適用範囲拡大のニュースを見たとき、自分も気になってもう一度詳しく文献を調べてみました。
まず、国内で研究を行っていた、藤田医科大学というところの実験では、89人の人を対象に、初日からアビガンを投与した人と、初日からではなく6日目から投与した人とを分けて実験をしていました。
この時、投与しない人、との比較はしていませんでした。
この結果、ウイルスを減らす効果が高い可能性はあるものの、確実に効果がある、と言えるほどの結果は出ませんでした。
これによって、アビガンは効果が無い、という結論がつきましたが、ここから先をもっと詳しく調べてみると「有意差」という、アビガンには確実に効果があると言えるまでの差、範囲を超えられる可能性がある、という風に締められていたのです。
これをもとにというわけではないですが、アビガンを生産している富士フィルムが、アビガンの第三層の試験を行い、さらに多くの人を対象に実験をしました。
こちらでは投与した人と投与していない人に分けて実験を行い、その結果、投与した人ではcovid-19のウイルスが平均で、11.9日で確認されなくなり、PCR検査で陰性となりました。
一方の投与していない人では、14.7日でウイルスがなくなりました。
第三層試験によって、3日間ほど、早くウイルスが無くなることが分かったことで、一定の効果が確認できた薬として、承認申請が行われたのです。
9月9日に出た治療のガイドラインで、お薬の向き・不向きが発表
以前、もしかしたら少し触れたかもしれませんが、9月9日に日本救急医学会、日本集中治療医学会というところがcovid-19のガイドラインを出しました。
この中で、今まで何となくで使い分けられていた「軽症」「中等症・重症」の指針が定められました。
まず軽症者は、酸素吸入を必要しない人のこと、としました。人工呼吸器はもちろん、酸素マスク等も含めて不要なケースで、例えば咳が出ていたり、息苦しさがあったとしても、病院で酸素吸入が必要でないのであれば、一律で軽症者となります。
対して、中等症・重症の方は、酸素吸入が必要な方、となります。
この定義で当てはめて、アビガンは軽症者には「弱く」推奨されています。
アビガンは副作用の種類が多いお薬ですが、副作用の危険よりもウイルスを減らす効果の方がわずかに上回る、高く得られるだろうとのことで、弱い推奨、ということになっています。
一方の中等症・重症の場合は、現在は「推奨を提示しない」とされています。なぜかというと、副作用と効果のバランスが現在でも判断できないためです。
今後、アビガンによって中等症・重症の方が早く治るとか、死亡率が減る、と言った研究結果が出れば変わる可能性があります。
そしてもう一つのお薬として出ていた、レムデシビルですが、これはアビガンの逆で、軽症の場合に対しては「推奨を提示しない」となり、中等症・重症の場合では「弱い推奨」がされています。
レムデシビルはすでに、臨床研究で重症患者の死亡率を減らしたことが認められていますが、軽症の場合で早く治るかはまだ確認されていません。
また、レムデシビルも当然副作用の問題があり、値段が高いという問題もあるため、そもそも軽症の方に投与するのか、という事も考慮する点となっています。
ちなみに、アメリカのトランプ大統領が言ったヒドロキシクロロキンですが、これも日本の先ほどのガイドラインの中で触れられていますが、これはいずれの場合でも投与しないようにとなっています。
炎症に効くステロイドは?
肺炎の症状が主なので、これまでも何度か触れていますがステロイドが効果的です。
これはガイドラインでも記載されていますが、中等症・重症の場合は投与することを強く推奨していますが、一方の軽症者には投与しないことを推奨しています。
どういうことかというと、ステロイドは以前もお話しましたが炎症を強く抑えられるかわりに、免疫力が下がる効果があります。
炎症が抑えられたとしても、結果的に、治るまで時間がかかり、治療が長引く恐れがあるのです。
ですが、ステロイドのこの効果を利用して、以前のcovid-19の回でも触れた、サイトカインストームを抑えることが出来ます。
サイトカインストームとは、体の免疫力が暴走してしまって、体内で様々な悪影響を及ぼすという症状ですが、ステロイドによって免疫力が下がることで、これを大きく抑えられます。
この働きで重症患者の死亡率が目に見えて減っているほど、優れた効果となっており、中等症・重症の方には投与することを強く推奨しています。
このことを踏まえると、日本では軽症の患者さんにはアビガン、中等症・重症の方にはステロイド、レムデシビル、という風になっていく可能性が高い、と言えます。