薬を潰したり噛んだりするのは危険ですっ!#327

Voicy更新しましたっ!

今回はお薬の「飲み方」のお話。

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お薬は”そのまま”飲んでください

今日は久々にお薬にまつわる事です。薬の”飲み方”についてお話したいと思います。

つい先日、自分の薬局が受けている施設、うちからお薬を出している施設さんで、何かの拍子で薬がこちらまで戻って来たことがあります。

そのとき、錠剤で出したお薬が、潰された状態で戻ってきて、問い合わせてみると「飲ませるときに潰してた」とのことでした。

お薬を潰したり、砕いて飲むのは非常に危険なこともありますので、絶対辞めてください。

 

薬を潰して飲むと、効果が大きく変わる可能性が

薬を潰して飲むと、効果が大幅に変わってしまう可能性があります。

お薬とは、錠剤一粒の中で非常に様々な工夫がされているもので、例えば腸のお薬は腸で効かせる必要があるため、胃液で溶けては意味がなくなることがあります。

また、24時間かけてゆっくりと溶けていくように作られている薬もあり、そういったもので噛んだり、潰してしまうと一気に効きすぎてしまって、命の危険が出る、という事もあります。

これは一部の「医療用麻薬」などでも同様に見られることで、潰して飲んでしまうと非常に危険なので、ものすごく硬く作られてることがあります。

にもかかわらず、それをペンチのような工具で潰して使ってる、って言うことが発覚した事例もあります。

その時は早い段階で気付けたので問題ありませんでしたが、もしそのまま強い効果の医療用麻薬を飲み続けていると、効果が出すぎてしまって呼吸が止まるとか、死に至るということがあります。

 

錠剤は薬の味を隠す意味もある

潰した方が飲みやすいというのは、飲み込むとき、喉を通すときには確かに一理ありますが、薬の味、苦みを感じずに飲み込めるのは、錠剤の一つの利点になります。

たまに、尋常じゃないほど苦い薬を固めて作っている錠剤、というものがあります。

外側をコーティングしたり、カプセルにしてその味を感じずに飲み込めるようにしている場合もあるため、そうしたものを潰してしまうと余計飲めなくなる、と言ったことが起こり得ます。

とはいえ、飲み込めないものは飲み込めない、本当に難しいという場合どうすれば良いのかというと、まずは薬剤師に相談してください。

 

お薬の相談は薬剤師へ

薬剤師に相談してみると、様々な選択を考えてくれます。

お医者さんはお薬の成分や名前はある程度知っていますが、どういう形なのか、似たような薬で何種類あるかなどは、お医者さん本人がよく使ったりしていない限り、そうそう知り得ないです。

ですので、お薬の相談は薬剤師に相談するのが一番おすすめです。

似たようなお薬で粉の薬があればもちろんそれをお出しできますし、最近では錠剤でも口の中で溶けて、それで充分効果を得られるというものも、どんどん開発されてきています。さらにそれでも難しい場合は、水薬という手段もあります。

また逆に、お年寄りでたまに見られる「飲みづらい粉薬」にはゼリータイプのものもあります。

粉薬を自分で混ぜこむのではなく、ゼリーの中にお薬の成分が入った、れっきとしたゼリータイプのお薬、というものです。

こうしたものが販売されており、また現在も日々開発されていますが、それでも全部の薬に色々なタイプがあるわけではありません。

その場合は、違う成分だけど必要な効果を得られる薬に変える、と言った選択肢もあります。

 

ジェネリック医薬品・オブラートの活用も

例えば、小さい錠剤という括りで探してみて、1錠飲むところを2錠飲んで同じ効果を得る、というのも手です。

以前お話したジェネリック医薬品でも、微妙に薬の大きさが違うことがあるので、まずは是非、薬剤師に相談してみていただければと思います。

最後は、オブラートを活用すると、意外にそのまま飲めることがあります。

オブラートはしっかり濡らしてくるむと、ゼリーみたいに包まれて、お水と一緒に飲むとすんなり入って行くことがあります。

ゼリー状になった状態でそのままするっと飲めますが、引っかかる可能性があるので必ずお水と一緒に飲んでください

あと、薬剤師に相談する必要はありますが、お子さんではお水の代わりにジュースと一緒に飲むことも、場合によっては可能です。

また前項で少し触れましたが、ゼリーやプリンに混ぜるのももちろん有効です。

基本的に、ご飯が食べられる、噛んで飲み込めるということは、錠剤も飲み込めます。

よく噛んだご飯よりも、お水と一緒に飲む錠剤の方が小さいためです。

ただ、どうしても気持ち的に、お薬が異物なようで難しいことはあり、1回コツをつかんで飲み込めたらあとは飲める、というのは小さい頃は特に良くあります。

難しい時は是非、遠慮しないで薬剤師に相談してみてください。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属