乳がん検診、マンモとエコーはどっち?MRIは?#1028

10月はピンクリボン月間

前回、10月10日は目の愛護デーとして緑内障について、前々回はメンタルヘルスデーとして心の病について取り上げましたが、10月はピンクリボン月間ともされています。

ピンクリボン月間とは、女性の乳がんの周知を呼びかけることを目的として定められたものです。

今回は乳がん検診を中心にまとめていきたいと思います。

2年に1回のマンモグラフィー検査が推奨

乳がん検診で最も代表的なものとなるのが、マンモグラフィーとエコーかと思います。

マンモグラフィーは胸を挟まれて痛いと聞くとか、詳しく調べるならMRI検査も必要なのだろうか、など迷う人も多いと思います。

まず、現在の政府が推奨している乳がん検診は、40歳以上の女性を対象にした、2年に1回のマンモグラフィー検査ですので、これが一つの目安となります。

これら以外にも様々な検査があり、詳しくは後述しますが、それぞれで得意なことが別れており、どれか一つがすべての点で優れている、ということはありません。

乳がんは胸に不自然なしこりができる病気、というイメージがあると思いますが、しこりがないと乳がんではない、とは言い切れません。

初期には自分では気づける症状がほとんどない場合もあるため、症状がなくても定期的に検診を受けて、乳がんを早期に発見して、適切な治療につなげることが大切です。

それぞれの検査の違い

現在行われている乳がん検診についてですが、まず前項にもあったマンモグラフィー検査とは、乳房専用のX線検査のことです。

乳房を2枚の板で挟んで薄く伸ばし、X線で撮影することで、乳房の内部にある微細石灰化と呼ばれる変化を見つけるのに適しています。

微細石灰化とは、乳腺の組織内に小さなカルシウムの沈着がみられるもので、いわゆるしこりの正体となるものです。

これがあると乳がんということではありませんが、見つける手がかりとしては充分に有用な検査になります。

マンモグラフィー検査は、乳房を物理的に圧迫して撮影するため、痛みを感じる人も多く、例えば月経がある人では、月経前に乳房が張ってしまい、そのタイミングで検査を受けると痛みがより強まることがあるため、月経が終わった後など、乳房の張りが比較的少ない時期に検査を受けると、負担が軽くなる場合があります。

次のエコー検査はいわゆる超音波検査のことで、超音波を使って乳房内部の状態を調べるという検査です。

X線を使用しないため、放射線を受けることなく、しこりの形や内部の状態などを詳しく確認できます。

ちなみに、乳房の中には乳腺と脂肪がありますが、マンモグラフィー検査と乳腺も白く写るため、小さな病変やがんが見つかりにくくなることがあります。

このような状態の乳房は高濃度乳房と呼ばれ、乳がんの発症リスクが高いことに加え、マンモグラフィーで病変を見つけにくいですので、その場合は超音波検査も追加することで、より正確に検査できる場合があります。

そして、MRI検査は主に脳の病で使われることが多いと思いますが、磁気を利用して体の内部を画像化するという検査で、マンモグラフィーやエコーとは異なる情報を得られる場合があります。

乳がんにおいてのMRI検査は時間やコストがかかることもあり、マンモグラフィーとエコー検査、触診までしても断定できないようなケースで、精密検査として使うのがベストです。

また、すでに乳がんと診断されていて、病変の広がりを確認する場合や、遺伝的に乳がんのリスクが高い方で早期発見を目的としてMRIを用いた検査が効果的なこともあります。

このほかでは、マンモグラフィー検査が立体的になったトモシンセシスという検査方法や、サーモグラフィーを活用した検査もあります。

トモシンセシスは3Dマンモグラフィーとも呼ばれ、乳腺の重なりを分けて観察しやすくするための技術で、サーモグラフィーは体表面の温度分布を画像化する検査ですが、どちらも実施していない病院も多いため、受けたいときは注意していただければと思います。

検診と受診について

簡単に乳がん検診についてまとめましたが、大前提として、検診と病院の受診は別物と考えていただければと思います。

検診とは、自覚症状がない人を対象にがんの可能性を調べるものですので、何かあった際にはすぐに病院にかかってください。

今までなかったしこりがあるとか、乳房の皮膚が引きつってきたり、へこんだりしている、乳頭から血の混じった分泌物が出る、乳頭や乳輪がただれている、乳房の形が明らかに変わったといったような、何らかの症状がある場合には、次の検診を待たずにすぐに相談して、受診してください。

お医者さんは乳腺外科や乳腺科がベストですが、かかりつけの婦人科さんがあればそちらで充分です。

ただし、しこりがあっても必ずしも乳がんとは限らず、良性でがんとは関係ないものの場合もあります。

もし気になる変化があれば、自分で判断せずにすぐに検査を受けることが大切です。

普段から自分で知っておく

最後に、普段から自分の乳房の状態を知っておくことも、早期発見につながります。

例えば、お風呂の時や着替えのときなどに、乳房の形や皮膚の状態に変化がないかを意識してみてください。

体を洗うときも、いつもと違うしこりや変化がないか、自然に気づけるようにしておくと効果的です

これは決まった方法で何度も触って、しこりを探し続けなけるということではなく、普段の自分の状態を知って、いつもと違う変化に気づいたタイミングで、受診するということですので、是非普段から意識していただければと思います。

また乳がんに限らないことですが、検診結果に要精密検査と書かれていると、何か悪いことがあるのではと不安になる人もいると思いますが、精密検査は、検診だけでは良性か悪性かを判断できないため、さらに詳しい検査が必要という意味であり、がんと確定したわけではありません。

乳がんで言うと、マンモグラフィーで見つかった変化をエコーやMRIなどで詳しく調べたり、必要に応じて細胞や組織を採取して確認するといったことをします。

ですので、不安でも精密検査を受けずにそのままにしないことが大切です。

また、家族に乳がん等にかかった人がいる場合には、遺伝的なリスクが関係する可能性もありますので、定期的に乳腺外科などで相談するのが安全です。

最後におさらいになりますが、まずは40歳以上の女性であれば、2年に1回のマンモグラフィーによる乳がん検診を受けることが最善ですので、もし最後の検診から2年以上経っている場合は、早めに検診を受けていただければと思います。

そして、年齢にかかわらず、自分の体の変化に関心を持って、何らかの変化があれば早めに医療機関を受診することを意識していくと良いかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属