味の素って本当に危ない?噂を科学で検証#970

ネット上で化学調味料の論争が

少し前に、SNSで化学調味料についての論争がありました。

料理研究家の方を交えて、日本の有名な化学調味料の一つの、味の素の是非を議論されていました。

「化学調味料」と聞くと体に悪いのではないかというイメージを持つ方もいますが、実際には料理の旨味を補うための調味料の総称です。

今回はこのことから、少し趣向を変えて化学調味料についてまとめてみたいと思います。

化学調味料とは

化学調味料とは、現在代表的なものとなるもので、商品名で言うと「味の素」があります。

主成分はグルタミン酸ナトリウムで、グルタミン酸はトマトやチーズ、昆布などにも自然に含まれている旨味成分で、決して特別な物質ではありません。

そして、旨味成分には、イノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウムなどもあり、これらが組み合うことでより強い旨味が生まれます。

そのうえ、酵母エキスやタンパク質加水分解物といった成分も補助的に、旨味を補う目的で使われることがあります。

これらの成分は全て、体内ではアミノ酸として分解されますので、食材から摂取する成分と同じように利用されるため、特別、体に残るような成分ではありません。

各国の安全性評価と摂取基準

化学調味料の安全性については、世界各国で長く研究と評価が行われています。

まずアメリカでは、アメリカ食品医薬品局(FDA)がMSGを、一般的に安全と認められる物質、として扱っており、国際機関である世界保健機関(WHO)でも通常の使用であれば特別な制限は必要ないと評価されています。

ヨーロッパでは2017年に見直しがされ、グルタミン酸ナトリウムの摂取量は体重1kgあたり30mg、と目安が示されました。これは体重60kgの人であれば、1日約1.8g程度が目安量となります。

ただ、これは危険性があるという意味ではなく、健康上の理由で大量摂取を避けるラインとして設定されたものです。

日本ではWHOの評価に準じる形で、特別な摂取上限は設けられていません。

「体に悪い」というイメージが広がった理由

化学調味料が健康に悪いというイメージが広まった背景には、1968年に医学雑誌に掲載された「中華料理を食べた後に体調が悪くなる」という報告があります。

当時はチャイニーズレストラン症候群と呼ばれ、「化学」という言葉に対する不安や、中華料理への偏見なども重なり、MSGが原因ではないかというイメージが広がりました。

また、当時の外食は塩分や脂肪分が多い料理に、化学調味料で味を調整していたということもあり、お酒が進んでアルコールを多く摂ったり、睡眠不足などの生活習慣が重なって体調不良が起きていた可能性が高いのです。

つまり、化学調味料そのものではなく、化学調味料がよく使われていた食事、料理そのものが健康への影響が大きかった可能性が高いということのです。

化学調味料を健康的に使うポイント

化学調味料は多く入れれば良いというものではなく、少量加えるだけで料理の味を引き立てる働きをします。

特に便利なのが、塩分を減らす目的での活用で、塩分を減らすと味が薄く感じて満足感が下がることがありますが、少量の旨味調味料を加えることで旨味が補わ、塩分を控えつつ食事の満足度を得ることができます。

加えるタイミングとしては、料理の仕上げに少量入れると味の調整もしやすくなります。

例えばストレスで暴食してしまうような場合は、塩分を減らす代わりに化学調味料を使うなども一つの対策になります。

また、体質的に合わないとか、美味しくないと感じる場合ももちろんありますので、その場合は無理せずに避けてください。

体質的に合わないのか確認したい時は、同じ料理で入れた日と入れない日に分けて食べ比べて、体調不良が起こるか確かめるのが確実です。

化学調味料は過度に恐れるものではなく、上手に使えば食事をよりおいしく、そして健康的にするための一つの調味料ですので、興味があれば上手く活用してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属