緊急事態宣言の解除は妥当なの?#492

Voicy更新しましたっ!

今回は首都圏以外での解除が正式決定した、緊急事態宣言の最新情報について

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近畿3県・中部2県・福岡県で緊急事態宣言が解除へ

以前、2度目の緊急事態宣言について取り上げましたが、先日正式に、その宣言が関東首都圏以外の地域で解除となりました。

これらの地域では、基本的な感染者数が目に見えて減少していき、病床のひっ迫も落ち着いてきたためです。

ただ、感染者数はこれ以上下がりようが無い状態、いわゆる「下げ止まり」の傾向がある、という言われ方もされています。

今回はこの、首都圏と首都圏以外で対応が別れた緊急事態宣言について、現時点での最新情報を中心にまとめて行きます。

重症者数・病床のひっ迫が重要

何度か重ねてになりますが、covid-19においては、感染者の数よりも重症者数が減る事、病床が確保できることが非常に重要です。

病床が確保できるということは、徐々に通常の医療体制に戻ることに繋がります。

例えば、covid-19の受け入れ病院だったところも、その規模を縮小して一部を一般病床に戻しているところもあります。

言い換えれば、重症者数や感染規模に併せて病床数も動いているということですので、病床使用率が急激に下がるという事はありません。

関東圏では3月7日解除予定

そして、関東の1都3県についてですが、こちらは現在も緊急事態宣言下にあり、解除は前回お伝えした通り、3月7日とされています。

感染者数は年初と比べると大幅に減っていますが、下げ幅が停滞している、下げ止まりの状態にあります。

また千葉や神奈川では、位置が特定出来ているクラスターではありますが、若干増えているのが、現時点で少し不安材料と言えます。

以上が現在の、2度目の緊急事態宣言についてです。

以前の配信の繰り返しになりますが、1回目の宣言と違って緩いものだったため、飲食店の営業時間が多少元に戻る程度で、日常生活ではそれほど変わらないと思います。

現時点での宣言解除は妥当?

これを踏まえて、今2度目の宣言解除をするのが妥当かどうかですが、正直に言って、個人的な意見ですが、まだ早い気もします。

まずその理由が、前項で出た「感染者数の下げ止まり」です。

具体的に言うと感染者数の減少のスピードが落ちて来ている、という事ですが、なぜこれが気がかりかというと、以前も触れましたがその日に発表される感染者の数字は、その日からおよそ2週間前の数字になります。

つまり、ここ数日で減少スピードが落ちて来ているという事は、それは2週間前の数字です。

2月末となる今、そのまま横ばいどころか、もしかしたらここ3,4日程度で微増に転じ、上昇傾向のさなかにある中で、関東圏以外の宣言を解除した、という風になる可能性もあるのです。

もう一点が、ワクチンの確保が効率よく進んでいない、という問題です。

当初、6月末までに国内の高齢者の接種が終わるように、という方針でした。

もし6月末までに高齢者の接種があらかた完了できたとしたら、5月か6月に訪れる可能性がある第4波の時、高齢者の間では発症や重症化のリスクを大幅に下げられます。

さらに、高齢者の接種の前に、医療者の接種が完了するため、病院でクラスターが起こることも、ほぼ確実にありませんので、病床のひっ迫を大きく抑えられることに繋がります。

しかし、これらはあくまでもワクチンの確保と流通、そして接種が滞りなく進んだ場合での事です。

高齢者の接種が後ろ倒しになる事がほぼ確定している現状、5月や6月に感染者が増加したころに、もしかしたら再度医療がひっ迫して、また緊急事態宣言となる恐れがあるのです。

ですので、ワクチンが打てる時間を確保したり、第4波のタイミングを遅らせて規模を抑えるためにも、今の緊急事態宣言をもう少し、ギリギリまで行っても良いのでは、と思える部分がある、という事です。

ワクチン接種が充分に出来るように

これからについては、やはり一つポイントがあるとしたら、ワクチンが充分に行きわたる事、と言えます。

決して、ワクチンを打ったら感染しないから大丈夫、という事ではなく、ワクチンを打つことで発症と重症化のリスクを大幅に減らせられる、という事ですので、ワクチンを打った上でさらにきちんとした感染対策が必要です。

例えば、会食時も食べる時は黙々と食べて、喋る時はマスクをつけると安全、という事は政府からの発表でも、また日々のニュースでも頻繁に言われていると思いますが、これはお酒の時も同じことです。

お酒も飲む瞬間だけマスクを外して、喋るときはマスクをつける、という風にしたら感染のリスクは充分減らせられます。

少し前の回にもお伝えしましたが、これ以上何をしたら良いのか分からない、という方もいると思います。

すでに対策をしている人であれば、今まで通り、その対策をこれからも続けて行っていただければ充分です。

もし万が一、不十分かもしれないとか、何か思うところがあれば、今一度見直してみて頂ければ幸いです。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属