分科会で「4回目接種」の議論が開始
前回、3回目接種の副反応についてお伝えしましたが、つい先日政府の分科会にて「4回目接種」の議論が始まりました。
このペースだと、オミクロン株の再拡大の恐れがあるとして、希望者への4回目接種を5月から開始できるよう体制を整える、としています。
種類は今までと変わらず、ファイザー社とモデルナ社の2つで、ペースも同じく3回目の接種を終えてから6か月経過後、としています。
海外では、重症化リスクの高い人はおよそ3か月から4か月で再接種をした、という事例もあり、このこともあっての検討になります。
40代以下など、若い方への3回目接種もまだあまり進んでいない現状ですが、新しい変異株の恐れもあることから、4回目接種の議論がスタートしました。
4回目接種の有効性
現在、落ち着いてきているとはいえ、著しく少ないとは言えない状況にあります。
そして今後、BA.2株という新しい変異株の恐れもあることから、分科会の中で準備の議論に入ったという事ですが、あくまでも議論の段階であり、分科会の専門家の中でも意見が分かれています。
例えば、現在の日本では3回目接種の効果があまり見えておらず、まずはその評価をしっかりと見て、それから4回目が必要なのか不要なのかを見極めるとか、4回目は従来のように接種券を配って無償の予防接種をするのではなく、個別に申し込みをして私的に接種してもらうようにする、などのように、今後の状況を考慮した様々な意見が出ています。
そして、ワクチンの4回目接種後の効果ですが、実は期待しているほどの効果は得られない、と言えるデータが上がっています。
どういうことかというと、ワクチンを接種すると、体内に抗体ができます。
体内にできる抗体は、初期のcovid-19やデルタ株のような変異株に対しては非常に効果的でしたが、実はオミクロン株に効く抗体は、あまり増えていないことが分かりました。
この理由は単純で、このワクチンは2社とも、最初のcovid-19の形をもとに作成されているため、その変異株となるデルタ株や、さらにデルタ株と大きく形が違うオミクロン株では必然的に効果が落ちるのです。
これはオミクロン株にワクチンが効かないわけではなく、世界的に見て大きくは効いていない、という事です。
この「抗体があまり増えていない」ということは、感染予防の効果に影響が出てきます。
前回も触れたように、接種直後は感染予防効果がありますが、すぐに効果が落ちて行きます。
これは具体的には、抗体の量から見ると、4回目接種時の感染予防効果はおよそ10%から30%ほどしかないと推測されています。
しかし一方で、接種が最も進んでいるイスラエルでは、60歳以上の高齢者のデータでは、感染リスクが半減、重症化リスクが4分の1まで減少した、というデータもあります。
これは60歳以上の高齢者のデータで、その下の世代に関してはデータが発表されていません。
重症化予防のための4回目接種
これは推測ですが、最も接種が進んでいるイスラエルでも、若年層へのワクチンの効果が十分ではなく、取り立てて発表することが無いため、公表していない可能性があるのかもしれません。
また、イギリス、ドイツ、フランスでは、4回目の接種は高齢者や重症化リスクの高い人、そして医療従事者に限定してスタートしています。
こうした事例を踏まえると、「重症化予防のため」であれば、4回目接種を開始する意義はあると思います。
海外と同じく、高齢者や重症化リスクの高い人や、医療従事者、エッセンシャルワーカーのような、万一感染しても重症化せずに回復、仕事に復帰する必要のある方には従来通り無償の接種で、それ以外の方に対しては3回目で終えて、4回目以降は任意接種で、という形が個人的には良いのかなと思います。
現在流行しているオミクロン株への感染予防効果はかなり薄く、ワクチンによって感染拡大を抑えるということは極めて難しいと言えます。
言い換えれば、感染予防効果を得るために4回目の接種をする、と考えると、費用対効果は非常に悪いと言えます。
4回目接種は、副反応の有無で決めるのも手
重症化予防のためだけでも、若年者やリスクの低い人であれば、3回目の接種を終えた段階で充分得られる上に、副反応で負担がかかる可能性も高いです。
ただ、4回目であっても、打たないよりは打った方が効果が上がりますので、副反応が重くない人や、リスクが低くてもとにかく感染したくない、というようなことがあれば、打つのは充分選択肢に入ると思います。
特に自分は医療従事者で、様々な患者さんと触れ合う機会もあるため、もし4回目の接種が始まれば、打つつもりでいます。
ちなみに、こちらも前回触れたように、3回目接種後は感染予防効果は70%ほどまで上がることは確かですので、3回目接種はやはり、なるべく打つことをおすすめします。