デルタの次はオミクロン株?実際のところは?#568

Voicy更新しましたっ!
今回は南米で確認されたcovid-19の変異株「オミクロン株」に関するお話

健康情報を声で聞ける!
医療・健康ナビ なくすりーなはこちらから聞いてみて下さいね^^v

懸念される変異株に「オミクロン株」が指定

海外では依然として猛威をふるっているcovid-19ですが、日本では10月の末ごろから現在まで、感染者数も重症者数も非常に低い水準を保っています。

この理由は以前触れたように、ワクチンの接種が行き渡っていることや、マスクへの抵抗がない土壌があるなど、様々な要因がありますが、はっきりとしたことは分かっていません。

そんな中、デルタ株に続いて要注意とされる変異株「オミクロン株」が南アフリカで確認されました。

これを受け、WHOが正式に「懸念される変異株」として指定しました。

以前のデルタ株のような、今後世界的な流行をする可能性があるタイプ、ということです。

国内でもすでに一例確認されているこの変異株について、現在分かっていること、現在の政府の対策についてを簡単にまとめて行きたいと思います。

11月30日から、新規の外国人の入国を原則禁止に

まず始めに政府の対応についてですが、オミクロン株の流行を受けて、外国人の入国を原則として完全禁止にしました。

これまではビジネス目的や留学などの方に限り、制限を設けての入国となってましたが、今後は1か月を目安に原則禁止となり、日本在住者が日本に帰国する場合のみ例外、という形になったのです。

水際対策としては、現在オミクロン株が流行している13の国と地域からの入国の場合は、指定の宿泊施設で10日間隔離、そのうち3日目、6日目、10日目の3回に分けて検査を行い、さらにあと4日自宅待機で、トータル2週間隔離と言う対策が取られています。

オミクロン株が流行している地域以外からの帰国者は3日目までは指定宿泊施設で隔離、検査して、陰性であれば14日目まで自宅待機となります。

covid-19の流行が落ち着いている地域では14日間自宅または宿泊施設での隔離となります。

そしていずれの場合でも、位置情報の管理、保健所に位置情報の開示を求められた場合には提示するように、という誓約書を書いてからの入国となります。

不明な点が多いオミクロン株

次にオミクロン株の特徴についてですが、極めて新しい変異株なため、全体像はまだ全く見えていません。

確認されたのは南アフリカですが、実際に南アフリカで変異して生まれたかはわからず、未だに確かなことは分かっていません。

これを踏まえて、現状分かっていることは、まず国立感染症研究所の研究では、スパイクタンパクが従来のcovid-19とは30か所違う、ということです。

スパイクタンパクはワクチンの回などでも度々触れていますが、人の細胞にくっつくための触手、とげのようなものです。

これが従来のとは30か所違う、変異していることが明らかになっています。

これが違うだけで、実際にどれくらい感染力があるのか、感染力に違いがあるのかはまだ分かっていません。

ちなみに、現在の南アフリカでは、感染者の大半がオミクロン株に感染していることが分かっていますが、このオミクロン株が流行したのは、デルタ株の流行が落ち着いていた時期でのことです。

南アフリカでは夏頃にデルタ株によって2万人近くの感染者がいましたが、日本と同じようにそれから徐々に減っていき、数百人程度まで減りました。

その後、オミクロン株によって徐々に増加に転じ、現在は1日6000人ほどの感染者が出ている、という状況にあります。

つまり、単純に置き換わったという見方もできますが、一方でデルタ株の流行が完全に治まってきていた所でオミクロン株が流行したのもまた事実ですので、一概に感染力がデルタ株より強いとは言い切れないのです。

そもそも南アフリカはワクチンの接種率が著しく低く、全人口の24%ほどとなっています。

それにもかかわらず、一旦減少に転じ落ち着いたという経緯があるため、デルタ株とオミクロン株は一概に比べられるタイプではない、という見方があるのです。

現在は、この他にも様々な情報が錯綜しているためまだ不明なところがたくさんありますが、急ピッチで研究が進められていますので、おそらく2,3週間後にはまた新たな情報が出てくる可能性があります。

オミクロン株にワクチンは効くの?

変異株が出るたび、非常に気になるのがワクチンの効果だと思います。

オミクロン株は、これまでのよりも30ヶ所も違いがあることは確かですので、効きづらい可能性は充分あります。

ただ、これまでも様々な変異株がありましたが、いずれも100%ではないものの一定の割合で効果はあり、重症化予防の効果も現状のワクチンで確認されています。

ですので、オミクロン株についてはまだ確かなことは分かっていませんが、効果はある程度あると思われます。

ちなみに、メッセンジャーRNAワクチンは、現行のからのアレンジが簡単にでき、理論上は3か月ほどどで改良した新型のワクチンが出荷できる仕組みになっています。

これはあくまでも改良から量産までの時間が3か月ですので、実際には契約から購入などのプロセスを踏む必要がある上に、改良型のワクチンの治験も必要ですので3か月以上の時間はかかりますが、すぐさま改良する体制はすでに整っています。

一層気を引き締めて、感染対策を

最初に政府の水際対策から触れたように、今回の変異株への対策は一段強めたものになりましたが、それでも確実に突破されます。。

実際、感染経路は追えているものの、国内でもすでに一例確認されています。

オミクロン株であっても、covid-19であることには変わらないため、マスクをすること、大人数での会食を控える、食事中は喋らない、人と距離をとる、こまめに手指を消毒するといった基本的な対策を、今一度徹底してください。

12月に入り、冬本番を迎えるのと同時に、年末年始休みで人の出入りも増えますので、今こそ気を引き締めて、感染対策をしていきましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属