免疫力っていうけどそもそもなんなの?#411

Voicy更新しましたっ!

今回は免疫力についてのおさらい

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薬がないcovid-19を、免疫力で治す?

covid-19のワクチン、治療法に先が見えない今、人間に出来るのは各々が持つ「免疫力」で症状を抑えるしかない、と言うことです。

これまでのvoicyでも何度もお伝えしているように、軽い風邪などであれば「すぐに病院に行かず免疫力で治していく」ことがとても大切です。

今回は前回のマスクのおさらいに続いて、この免疫力について、今一度おさらいしていきます。

 

体を病原体から守る働き

免疫力については以前、394回や258回でも詳しく触れていますので、そちらも併せて参照してみてください。

人間の免疫力は、まず自分か自分以外なのか、を見分けることをします。

自分であれば、つまり自分の体の細胞であれば、通常は攻撃しません。

そして自分以外のものであっても、例えば食べ物花粉、動物の毛などは無害ですので、入ってきても攻撃はしません。

自分以外のもので、危険だと判断したものを攻撃します。これが免疫です。

もしそこで、入ってきた何らかの成分を危険だと認識してしまって、攻撃したり、外に出そうとする働きが起こると、アレルギー反応となります。

免疫には自然免疫と獲得免疫の2種類あり、自然免疫は体に病原体が入った時、自分の体力などで自然とやっつけて得られた免疫で、獲得免疫は1回入ってきた病原体に対して得られる免疫です。

例えば有名な、はしかも、一度かかったらそれ以降はかからなくなる、というようなものです。

 

免疫の仕組み

免疫力の仕組みについてもう少し詳しく触れると、体に病原体が入ってしまい、攻撃をするという時、その病原体を直接食べて殺す、という免疫細胞が体内にあります。

これによって、例えばウイルスに乗っ取られた細胞を殺して、外に出たウィルスを食べて数を減らす、という事をしてくれます。

しかしこれでもなかなか数が減らない場合、免疫細胞が別の細胞に応援を要請します。

その細胞が抗体を作ります。抗体とはその病原体、今まさに免疫細胞が激しく戦っている相手の病原体専用の特効薬、みたいなものと考えてください。

これを応援として呼ばれた細胞がどんどん作っていきます。これで体内から病原体が消えていきます。

病原体が消え、攻撃が終わった後、今度はその病原体について記録してくれます。

この記録が大切で、もしこれから先、同じ病原体が入ってきた時に、最初からこの抗体が作れるようになります

 

免疫細胞が働いている場所

この免疫細胞は、実際体内のどこにあるのか、という事ですが、一つは外と接する粘膜です。

口、喉、鼻、目は外とほぼ直接つながっている粘膜ですが、肺や胃腸も外から得た酸素や食べ物がそのまま届く部分となりますので、免疫細胞が働く部分になります。

病原体は基本的に外から侵入するため、外と接している部分には必ず免疫細胞が存在します。

一番多いのは食べ物を消化する場所となる腸です。

腸で消化して、栄養にして全身へと回すため、万が一腸に侵入されてしまうと全身の深くまで回る可能性があるので、腸内の免疫力は非常に強くなっています。

これは、体全体の6割の免疫細胞は腸にいると言われているほどです。

粘膜、胃腸以外だと、体の中に含まれる水分のある場所に、免疫細胞があります。

例えば血液やリンパ液、細胞と細胞をつなぐ液、といったところに免疫細胞が含まれています。そうした中にも免疫細胞があることで、万が一体内のどこかに病原体が入って、細胞を攻撃をし始めたときでもとっさに駆け付けて対処できる仕組みになっています。

 

免疫細胞がうまく働かないケース

免疫細胞の働くが弱くなるということは、単純に病原体の力が強くなることになり、治るのに非常に時間がかかり、体力も激しく消耗していきます。

通常、粘膜等に病原体がくっついても、その部分の免疫細胞が強ければ、増える前にやっつけることができ、また増えたとしてもある程度は対応が出来ますが、免疫が弱かった場合はどんどん増えてしまい、悪化していくということになります。

また、前述したアレルギーやアトピーも同様に、免疫細胞の働きの誤作動となります。普段であれば無害なものに対して、免疫が反応してしまって、様々な悪影響を引き起こします。

そして、もう一つ「自己免疫疾患」があります。

アレルギーはあくまでも、外から入ってきた花粉や食べ物が受け付けられない事ですが、自分の免疫細胞が、すでに体内にある健康な細胞を攻撃するという病です。

有名なのが関節の骨や軟骨を攻撃して激しい痛みが出る「関節リウマチ」で、普通は攻撃しない自分の骨を攻撃してしまって、痛みが出て骨が激しく損傷する病です。

さらには、免疫そのものが働かなくなる病もあります。

病原体によってですが、免疫のシステムを大きく壊されてしまうこともあります。

これが、後天性免疫不全症候群で、いわゆる「エイズ」のことです。

この原因となるウイルスが、HIVウイルスと言い、HIV感染という風に言います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属