健診用語の基礎知識シリーズ!腎機能の検査値って何?#312

Voicy更新しましたっ!

今回は前回の肝臓に続いて、腎臓についてのお話。

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腎機能を表す数字とは

前回は肝臓の機能、肝機能の数字についてでしたが、今回は腎臓の機能についてお話します。

腎臓の機能も、腎機能として健康診断で数値に表されます。

尿を作る腎臓

まず腎臓の働きとしては、一番有名なのが「尿を作る」という事だと思います。

腎臓では、体内にある水分、塩分を調節したり、血液から老廃物や毒素を出すということをします。こうした働きがあるため、腎臓は血圧の調整にも関わります。

また、腎臓はホルモンを出して赤血球や骨を作るのにも作用します。

肝心要とか、肝心と言う言葉にある肝は肝臓、心は心臓とされていますが、実は腎臓の腎でもあります。

尿検査で腎臓の機能を測る

この腎臓の働きを測るためには、一番簡単なのが「尿検査」です。

尿の成分を見ることで、尿たんぱくや尿糖が分かります。

また、血液検査ではクレアチニンと尿素窒素が分かります。検査結果にそれぞれCR、BUNという風に記載されます。

肝臓のように、初期症状がないという特徴

これらの数値が腎機能の数値となりますが、腎機能においても、肝臓と同じように「この数値がどういう風に変化するか」が大切です。

もちろん、最初に測った時に異常に高い場合などは、腎臓が悪くなっている表れですが、基本的にはどういう経過をたどって、数値が変わったかを見ることで、病気の度合いを判断していきます。

なぜこうするかと言うと、腎臓は肝臓と同じように、不調が来ていても初期症状があまりないためです。

例えば足のむくみや、血圧が高くなってきた、体がなぜかだるい、などがありますが、こうしたことは往々にしてあるため、腎臓にから来てるとは分かりにくいのです。

また、腎臓の機能はゆっくりと徐々に低下していくという特徴もあります。

慢性の腎不全は、非常にゆっくりとしたペースで進行していき、そのまま行くとある所で一気に悪くなります。

そうなると、いわゆる「透析」をする形になります。初めの内は週2回ほどで、進行すると週3回かそれ以上、それと同時に飲むお薬の量も増えて行くので、非常に大きな病となるのです。

これを防ぐためにも、定期的に検査をして数値の移り変わりを見て、おかしいと思ったらそこですぐに対処していく、という事が必要です。

腎機能の数字

具体的にどういう数値だと、どうなるのかということですが、まず最初に書いた尿たんぱくは、これは基本的には出ないことが原則です。

ですがストレスや疲労、激しい運動などの直後に尿検査をした場合などでは、一時的に出ることはあります。

期間にして3か月ほど、連続でプラスになっていると、腎臓に何らかのことが起きている可能性がある、と判断できます。

2+以上出ていると、腎臓病の可能性が高いのですぐに病院で診てもらってください。

クレアチニンも、突然高い数値が出た場合は急性、徐々に上がっている場合は慢性の可能性があります。

男女で正常値が違うという特徴があり、男性は0.65〜1.09mg/dL以内が正常値、女性は同じく0.46〜0.82mg/dLまでが正常です。

ちなみに、クレアチニンは心臓の調子が悪い場合も数値が高くなりますが、お医者さんが見ると腎臓のせいか心臓のせいか分かりますので、大丈夫です。

尿素窒素も同じく、数値が高いと腎臓が悪くなってきている表れです。

正常値は男女ともに8~20mg/dLとなります。

腎機能の改善も「食事と運動」にある

腎臓を健康にしていくのも、やはり食事と運動が大切です。

脂分が少ないものを中心に、糖分を控えるなど食生活の改善が大切ですが、この腎臓に限っては、「減塩」が何より大切です。

塩分が多いという事は、水分を取る量が増えることになり、血圧を高めることに繋がります。

血圧が高いという事は、血管、心臓、そして腎臓に大きな負担になります。

具体的に言うと、1日の塩分を6g以下にすることがベストですが、これは腎臓がかなり悪くなっている方の基準ですので、これから腎臓をいたわりたいという方は、普段の食事から少し塩分を抑える、というレベルで充分です。

お出汁を活用するなどで、薄味のものを食べるようにしてください。

もう一つ、たんぱく質を取り過ぎないのも、腎臓をいたわることに繋がります。たんぱく質を取り過ぎてしまうと尿酸となり、腎臓にダメージを与える原因になります。

もちろん糖尿も進行すると腎臓を傷つけるので、血糖値が正常にすることを心掛けてください。血糖値は次回以降で詳しくお伝えいたします。

運動は一般的な運動で大丈夫です。以前もお伝えしたように、一駅分歩いてみるとか、エスカレーターをやめて階段を活用してみる程度でも充分効果的です。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属