前回のブログで「社会保障費の増大に向けて薬局・薬剤師ができること」と題して書きました。
その上でさらに詳しく、僕が考えている薬局・薬剤師を使った医療の効率化は、
具体的にどんなことができるのかを書いてみたいと思います。
1:薬局で治療可能な病気は薬局へ
いわゆる風邪のような軽い体調不良の場合は、薬局で治療するという事です。
これは医療費の効率化だけではなく、医療そのものを効率的にする事ができます。
まず、医療費の効率化という意味では、病院にかからないので医療保険が使われません。
その分、医療費を減らすことができます。
医療そのものの効率化というのは、軽い病気の人が病院にかからなくなれば、
医師はその診察にかかる時間を他の患者さんにかけることができます。
その結果、重大な病気を見つけたり、重大な病気の人をより早く見つける事ができたりします。
ただ、これにはいくつか問題があります。
・その病気は本当に軽い病気なのかを判断する必要がある
例えば、風邪のように見えて、実は重い病気が隠れているのかもしれません。
それが怖いから、「念のため」病院に行くわけですよね。
場合によっては、検査をして、重い病気ではないことを確認したくて行くわけです。
だから、その不安に対して、薬局・薬剤師が確実に責任を持たなければならないと思います。
もちろん、重い病気の可能性があるときには病院での受診を勧める。
その当たり前のことが不安の解消につながると考えています。
・病院に行く方が安い
病院では医療保険が使えます。
医療保険では、3割負担です。
市販で薬を買う場合は保険がありません。
だから、ある意味10割負担です。
この場合、市販薬を買うことと病院へかかって薬をもらうということでの金額はあまり変わらないでしょう。
それなら、病院へ行った方がなんか安心。
そう考えるのも当然です。
また、高齢の方では2割負担、または1割負担。
公費が使える方は、0割負担の場合もあるでしょう。
薬局で薬を買うよりも病院へ行ったほうが安くなる場合があるなら、
いくら「医療を効率化するために」と声高に叫んだところで、
なかなか薬局には足が向かないでしょう。
ですので、そのような費用負担面に関して、現時点では薬局側で工夫をする必要があります。
ただ今後、今までは保険で治療されていたものが、保険で治療できなくなるかもしれません。
例えば、風邪薬やビタミン剤、痛み止めの湿布剤など、
市販薬に同じ効果の薬がある病気に関しては、保険で治療されなくなるかもしれません。
その時には
「病院に行く方が安い=軽い病気でも病院に行って、薬局に行かない」
という問題が改善されるかと思います。
ただ、その時には、
「お金がかかるから病院に行かない」
と言う問題にも注意しないといけないとは思います。
・市販薬より病院でもらう薬の方が効く
この意識は根強くあるのではないでしょうか?
実際、医療用医薬品は効果が強くて限定された症状に良く効く薬です。
市販薬は、一般の方が多少間違って服用しても、
副作用が出にくいような使用量の設定がされていたり、
作用も副作用も弱いものが使われていたりします。
また、
「病院でもらった薬だから良く効くはず」
という思い込みが効果を高めるという「プラセボ効果」もあるでしょう。
特に、プラセボ効果は信頼関係が重要であると考えています。
「医師が処方した薬でなくても、あの薬局の薬剤師さんが出してくれる薬なら間違いない」
と思っていただける信頼関係を築くことで、
今よりももっと薬局を利用していただけるのではと考えています。
一方で、薬局で治療可能な病気は薬局へ行くようにすることには、問題ばかりではなくメリットもあります。
・時間が早い
病院では待ち時間があります。
場合によっては、病院で待った後、さらに薬局で待たなければならないかもしれません。
それに対して、薬局での治療を考えたとき、病院よりも待ち時間が少なくなると考えます。
これは、忙しい現代人にとってメリットになるのではないかと考えています。
ただ、薬局での治療が一般的になったときには、待ち時間が発生するかもしれません。
また、特に急に調子が悪くなったとき。
「薬局へ行く時間すらもったいない/その時間がない」
ということもあるでしょう。
これに対しても、何か答えを持っておく必要があると思います。