最近流行りの、ダイエットの飲み薬
前回はマンジャロなど、ダイエットの注射について取り上げましたが、今回はダイエットの飲み薬について取り上げてみます。
注射は怖いけど飲み薬なら使ってみたい、という方も多く、TikTokライブでもコメントが多くきています。
中でも最近特に流行っている、リベルサス、サノレックス、メトホルミン、ジャディアンスといったSGLT2阻害薬、そして市販薬のアライの5つについて、簡単にまとめていきます。
リベルサス、サノレックス、メトホルミン、ジャディアンス、アライの特徴
この5種類の特徴についてまとめると、まずリベルサスはセマグルチドを成分するお薬で、注射薬のオゼンピックやウゴービと同じ有効成分です。飲み方に特徴があり、空腹時にコップ1杯よりも少ないぐらいのお水で服用して、その後30分程度は飲食を避ける必要があるというものです。
サノレックスはマジンドールを成分とする高度の肥満症のための治療薬で、BMIで言うと35以上ほどでなければ使用はされず、依存性の副作用もあるため、美容目的で使われることはまずありません。
メトホルミンは比較的古くから使われている糖尿病治療薬で、体重減少効果はあるものの、一般的には大きくなく、海外ではサプリメント的に使用されているところもあります。
そしてジャディアンスに代表される、SGLT2阻害薬は、尿中に糖を排出することで血糖を下げて、結果として体重が減る場合があるというお薬です。
最後のアライは、オルリスタットを成分とし、食事に含まれる脂肪の一部を吸収されにくくする薬で、脂を脂のまま排出する、という効果が期待できます。
この5種類はいずれもダイエット薬として取り上げられることが多いですが、食欲に作用するもの、糖やカロリーを尿中に排出するもの、脂肪の吸収を抑えるなど、それぞれで仕組みや特徴はまったく異なります。
ダイエットの飲み薬の効果
以上の5種類で、実際にどれくらい体重が減るのかですが、それぞれの研究によって対象者の体重やBMI、糖尿病の有無、使用量、治療期間、食事や運動療法といった実施内容が異なるため、この薬が一番痩せる、と単純比較することはできません。
具体的にいうと、例えばリベルサスについては、2型糖尿病患者を対象とした臨床試験においては体重減少が確認されていますが、健康な人や美容目的で使用する人に、同じく当てはめることはできません。
ある試験では、2型糖尿病の患者さんに26週間使用すると4.4キロ減少したとされていますが、2型糖尿病の患者さんということは、すでにある程度太っている可能性もありますので、自分も単純計算で26週間飲めば4キロやせる、というわけではありません。
また、海外で報告されている経口セマグルチドの大きな体重減少率についても、日本で承認されているリベルサスとは用量や対象者が異なります。
ある記事では、セマグルチドで15%痩せた、というものを見かけましたが、これも当然ながら肥満や過体重の方に使用している上に、そもそも使用量が50ミリで、日本のリベルサスは最大で14ミリとされており、7ミリでも吐き気などの副作用が出やすく難しいお薬ですが、50ミリもの高容量のはかなり危険といえます。
メトホルミンは体重が減ることはありますが、肝臓での糖の代謝を上げるというお薬ですので、大幅な減量を目的とする薬ではなく、効果もそれほど高くありません。
ジャディアンスのようなSGLT2阻害薬も同様で、尿から糖質を出すという仕組みですのでかなりの効果が期待できそうに思われますが、実は健康な場合では1キロから2キロ程度しか変わりません。
糖質は尿から2つの部分から再吸収され、お薬を飲むことでそのうちの1か所が止まりますが、糖尿病ではない健康な場合だと、もう1か所からほぼ全て吸収されるため、飲んでも効果がほとんどないのです。
アライについては、日本人を対象とした試験において、内臓脂肪や腹囲の減少が確認されていますが、脂肪の吸収を抑える薬だからといって、飲むだけで大きく体重が落ちるというものではありません。
最後にサノレックスについては、高度肥満症に使用される薬ですが、現在のGLP-1関連薬のような、大規模試験と同じ条件で単純比較できるわけではありません。
かなり昔のお薬で、マンジャロのように近年で大きな試験がされているわけではないため、効果も安全性も不安な部分が大きいと言えます。
重ねてになりますが、いずれも同条件で比較したものではないため、数字だけを見て、何%痩せたとか何kg減った、という広告や記事は決して真に受けないでください。
副作用について
5種類のお薬の副作用についてですが、まずリベルサスでは吐き気、下痢、便秘といった、胃腸の症状が比較的よくみられます。仕組みが胃腸に働きかけるお薬ですので、胃腸系の副作用が多いうえ、まれに急性膵炎などの重大な副作用も起こることがありますので注意が必要です。
サノレックスはあまり副作用はありませんが、依存性の問題が大きく、3か月以上は絶対に飲まないように指導がされます。
メトホルミンはごくまれに起こる乳酸アシドーシスという副作用が代表的で、腎臓が弱い方には不向きなお薬で、症状としては下痢や吐き気などが起こることがあり、腎機能の状態によっては使用に注意が必要です。
ジャディアンスなどのSGLT2阻害薬は尿中に糖を出すため、脱水に特に注意が必要で、例えば飲み始めのころには肌の水分量も減ってかさつきやかゆみが出たり、尿路や性器の炎症、感染症などにも注意が必要です。
最後にアライについてですが、市販されているため薬局で購入することは可能ですが、まず購入時に食事や運動制限をしたものの効果が無かった、ということを申告する必要があります。
さらに、脂肪を吸収せずに排出する仕組みのため、おならが出るどころか、便意がないのに無意識に油が出たり、朝起きたら下着を汚してしまうような油の漏れなど、仕組みそのものに由来する副作用があります。
それぞれのお薬でかなりリスクがあり、体質や状況に合わせて変わりますので、もし気になるお薬がある場合は、必ずお医者さんや薬剤師に相談して、その薬が本当に自分に必要なのかを充分考えていただければと思います。
