夏に起こりやすい膀胱炎
ここ数日で、膀胱炎の患者さんが立て続けに来られました。
膀胱炎とは、おしっこのときに痛みを感じるとか、排尿したばかりなのにすぐまたトイレへ行きたくなる、残尿感がある、下腹部に重苦しさや違和感がある、尿が濁る、血尿が出る、といった症状が起こる病です。
この膀胱炎は実は夏に起こりやすい病ということを思い出し、今回取り上げることにしました。
膀胱炎の原因
一般的な急性膀胱炎は、尿道から細菌が膀胱へ侵入して炎症を起こすことで発症しますが、その原因の多くは大腸菌です。
特に女性は男性より尿道が短いため細菌が膀胱まで到達しやすく、膀胱炎になりやすいという特徴があります。
ただ、不潔だから起こるというわけではないため、必要以上に洗浄すれば予防できる、というものでもありません。
むしろ、洗いすぎは皮膚や粘膜への刺激となるため、逆に引き起こす原因になる可能性もあります。
大切なのは、症状が起こった時に素早い処置ができるかです。
例えば、排尿時の痛みや頻尿の症状があっても、膀胱炎ではなく尿道炎や尿路結石、過活動膀胱のような病の可能性もあるため、症状がある場合は早めに泌尿器科を受診して原因を確認するのがベストです。
夏に膀胱炎が起こりやすい理由
今回のきっかけとなった、膀胱炎が夏に起こりやすい理由の一つが脱水です。
気温が高くなると汗をかく量が増え、体内の水分が失われることで尿量や排尿回数が減少しますが、実は尿には尿道へ侵入した細菌を洗い流す働きもあるため、尿の量が少なくなることでその働きが鈍くなり、大腸菌などが膀胱まで到達しやすくなるのです。
それにより、夏は他の季節よりも膀胱炎のリスクが高まるのです。
ちなみに、膀胱炎は水をたくさん飲めば治るというものではなく、すでに膀胱内で炎症が起きている場合は、水分補給は大切ですが、それだけで細菌を排除して炎症を治すということはできませんので注意してください。
膀胱炎の治療
前項にも重なりますが、膀胱炎の疑いがある場合は、早めに医療機関を受診することが基本となりますので、排尿時の痛みや頻尿、残尿感、尿の濁りや血尿といった症状があれば、早めに泌尿器科を受診してください。
治療は必要に応じて、抗菌薬による治療を受けることが多いと思います。近くに泌尿器科がない場合は、内科でも相談できます。
もし、膀胱炎の症状に加えて、高熱や悪寒、背中や腰、脇腹の痛み、吐き気などが現れた場合は、細菌が腎臓まで広がった、腎盂腎炎の可能性があります。
腎盂腎炎は重症化して命の危険もあるため、速やかな受診が必要になります。夜間に症状が強まったり、ぐったりとして動けないなどの場合では救急車も呼んでいただければと思います。
膀胱炎は妊婦、男性や小児、糖尿病のある方、免疫を抑える薬を使用している方は、軽い症状でも早めの受診が望まれます。
特に男性は膀胱炎に慣れておらず、すぐに悪化することも多いため、充分注意してください。
とはいえ、ちょっとした尿の悩みで病院にかかりたくないという方もいると思います。
市販薬では頻尿や残尿感のお薬もあり、漢方でも猪苓湯(ちょれいとう)などが用いられることもあります。
ただ、市販薬でも漢方薬でも、細菌そのものを除去することはできないため、やはり膀胱炎の疑いがある場合はお医者さんに診てもらうのが安心です。
日頃から充分な水分補給を
最後に膀胱炎の予防についてですが、最も重要なのは、やはり日頃から十分な水分をこまめに補給することです。
特に夏は熱中症対策だけでなく、尿量を保って細菌を洗い流すためにも、水分補給を習慣にすることが大切です。
一度に大量に水を飲むのではなく、こまめに少しずつ飲むことが理想的です。
膀胱炎予防のポイントとしては、排尿を長時間我慢すると細菌が膀胱まで入り込みやすくなるため、トイレはできるだけ我慢せずに、尿意を感じたら早めに行くのがベストです。
また、デリケートゾーンは清潔を保つことは大切ですが、温水洗浄便座を長時間使用したり、強い水圧で洗いすぎたりすると、皮膚や粘膜への刺激になり、常在菌のバランスを乱す原因になるため注意が必要です。
もし、膀胱炎を何度も繰り返す場合は、尿路結石や糖尿病などが隠れていることもありますので、何度も起こるという場合は一度検査してみると良いかと思います。
