子供が薬を飲まない!薬剤師の団子・アイス・寝る寝る作戦#993

なかなかお薬を飲まないお子さんへの “とっておきの方法”

最近自分が手伝っている薬局が小児科の目の前で、お子さんへお薬を渡す機会がとても多くなっています。

そこで大きな問題となるのが、子どもがお薬を飲んでくれない、という相談です。

薬を見ただけで嫌がったり、口に入れても吐き出したり、泣いてしまったりすることは珍しいことではありません。

親御さんとしては、早く飲んで治ってほしいと思いつつ、お薬が大きな負担になっているのを見るのが辛く、苦悩することもあると思います。

苦味やにおい、粉っぽさ、飲む量やタイミングなど、子どもにとっては大人が想像する以上に大きなハードルがある上、苦味に非常に敏感ですので、大人には気にならない程度の匂いでも強く嫌がることもあります。

今回はそうした、お薬を嫌がるお子さんへ向けてとっておきの作戦を、思いつく限りひとまとめにご紹介していきますので、是非参考にしていただければと思います。

お薬を飲むタイミング

まず基本的ですが、意外と見落とされやすいポイントが飲むタイミングについてです。

一般的なお薬の多くは、食後と指示されることが多いと思いますが、普通に考えると、お腹いっぱいの状態だとお薬が飲みにくいということもあります。

ですので、お薬によっては食前に服用して、そのすぐ後に好きな食べ物やアイスクリームなどを食べる、という方法もあります。

これはもちろん、お薬によって適切な服用タイミングは異なりますので、必ず事前に医師や薬剤師へ確認してください。

薬の形を変える

次に、メジャーな方法ですが、お薬の形を変えるということです。

例えば粉薬が苦手なお子さんには、シロップ剤や、オブラートで包める錠剤など、別の形へ変更できる場合もあります。

また、ドライシロップと言い、処方時は粉の状態ですが、スプーン半分ほどのごく少量の水で溶くことで甘いシロップ状になり、とても飲みやすくなるというお薬もあります。

特に一般的な風邪のお薬であれば、対応可能なことが多いですので、遠慮せずに、診断時にお医者さんに相談いただければと思います。

お薬の意味を説明する

お子さんが少し成長してきたときは、なぜこの薬を飲むのかを説明して、理解してもらうということも、一つのポイントです。

無理に飲ませようとせずに、簡単にでも「咳を楽にする薬だよ」とか、「ばい菌をやっつける薬だよ」というように年齢に応じて説明することで、少しずつ服薬への理解が深まります。

それでも激しく嫌がるお子さんもいるかと思いますが、きちんと説明するとある程度の不安はとれるはずです。

強敵となる抗菌薬はペースト状にしたり、凍らせて飲ませてみる

お薬の中でも、特に飲むのが難しいのが抗菌薬です。

風邪薬や咳止めと違い、抗菌薬は薬そのものの苦味が強いのが特徴で、前項のようにごまかしても、味を隠すことが難しい部類のお薬になります。

その時は、粉薬を少量の水で練ってペースト状にして、上あごに塗って、水やジュースで流して飲み込む、とという方法が役立ちます。

お薬団子と呼ばれる方法で、このやり方だと苦味を感じる舌に直接触れにくいため、特に抗菌薬では有効な方法です。

6カ月以内のお子さんは吐き出す機能が無いため、抗菌薬のペーストを上あごに入れて、その後哺乳瓶でミルクをあげるのが確実です。

お水以外だと、チョコレートアイスやチョコクリームなど少量の食品と混ぜるのも有効です。

多い量で作ると、食べきる必要があるため、出来るだけ少量で、一口か二口で1回分のお薬が入るようにするのがベストです。

他には、薬を水に溶かして、それを製氷皿などに入れて凍らせ、その氷を食べさせるお薬氷という方法もあります。

お子さんは意外と、氷を食べることがあると思いますが、これを利用して、摂取させることも可能です。特に冷たいと苦みが麻痺して弱くなりますので、意外に効果があることもあります。

もしそれでも難しい時は、個人的に最強と思えるような、クラシエさんが発売しているお薬パクッとねるねるという商品を使ってみてください。

昔からあるお菓子の、ねるねるねるねというものがありますが、ねるねるねるねと同じ感じで、お薬を入れ、それを練って食べるという、一種の駄菓子のようなものです。

これが自分が試してみたところ、苦みを隠す力が極めて強く、お薬の中で最も苦いとされる漢方薬で試してみたところ、見事に隠れて、全く気にならずに摂取できたということがありましたので、もし本当に困っている時は検討してみていただければと思います。

お子さんが特に飲みづらいお薬

前項にて、抗菌薬が飲むのが難しいとお伝えしましたが、これは具体的に言うと、クラリス、クラリシッド、クラリスロマイシン、ジスロマックといった、マクロライド系抗菌薬が代表例です。

これらは酸味と混ざると苦味がより強くなるため、オレンジジュースやヨーグルトなどと一緒に飲ませると逆効果になることが多いのです。

そして、お薬自体は抗菌薬ですので、これが処方された際には、しっかりと飲みきらないと治らないという証拠ですので、是が非でも飲んでほしいお薬になります。

さらに、痰を出しやすくするムコダイン(カルボシステイン)というお薬は、酸味が強く酸っぱさを感じるのが特徴ですが、もしこれと前述の抗菌薬と処方され、混ぜて飲ませようとすると、強烈な苦みを感じるお薬となってしまいます。

ですので、何かと混ぜる際はチョコレートアイスやチョコクリームのような、逆に苦味を覆って包み込むような食品との相性が良いとされています。

他には、ワイドシリン(サワシリン)、メイアクト(セフジトレンピボキシル)の抗菌薬は風邪や溶連菌の際に出ることが多いですが、一度の量が多く、粉っぽいため服薬に苦労する方が多いです。

これらも前述のチョコ系のものと混ぜたり、お薬氷を試してみるのがおすすめです。

また、インフルエンザ治療薬の、タミフルドライシロップ(オセルタミビル)も独特の苦味で知られていますが、ポカリスエットやアクエリアスなどのスポーツドリンクと相性が良い場合がありますので、こちらも試してみいただければと思います。

一番好きなものと上手く組み合わせてみる

以上、思いつく限りのことをまとめてみました。

当然ですが、どの方法が有効かは、お子さんの体質や好みによって異なります。

チョコ系や甘い物でうまくいく子もいれば、全く受け付けない子もいます。

全く別のケースでは、お薬を海苔の佃煮に混ぜて、おにぎりの具にして入れて食べさせたり、納豆に混ぜて食べたという例もあります。

そして、お薬によっても、食品との相性や注意点がありますので、決して自己判断だけでは進めずに、薬剤師へ相談していただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属