ADHD用のお薬が不足している現在
先日コメントで、ADHDのお薬のコンサータのような漢方薬は無いのでしょうか、と頂きました。
近年よく耳にする、ADHDという病がありますが、実はそのお薬が世界的に不足しているという現状があります。
今回はこのADHDとコンサータ、そしてそれらに関わる漢方薬について、少しお話してみたいと思います。
ADHDとは
ADHDとは正式には注意欠如多動性障害と言い、神経発達障害の一つです。
不注意や多動性、衝動性といった特徴によって、仕事や学業、人間関係が難しくなり、日常生活に支障をきたしてしまう状態を指します。
例えば子どもの頃は落ち着きがないと見られることが多く、そのまま大人になると忘れ物が多いとか締め切り管理が苦手、片付けが難しい、できないといった形で現れることが特徴です。
ADHDの場合は一時的なものではなく、いわゆる先天性の、その人の生まれ持った脳の特性によるもので、育て方や環境の問題ではありません。
もし、それまでは普通だったのに突然変わったと思われる場合は、睡眠不足による不注意とか、うつや不安、脳の病などの可能性があります。
またお子さんのケースでは、学習障害というADHDとは別の病の可能性もありますので、もし疑いがある時は一度お医者さんに相談してみてください。
ADHDは、現代の医学で厳密に定義すると障害という分類にはなりますが、程度問題であり、個人の性格、特性と言える範囲です。
例えば分かりやすく言えば、好きなことや気になったことには没頭してしまう性格が、思いがけず社会生活で役に立つこともあると思います。
逆に言えばそうしたこと以外には集中できず、一般的な日常生活を送るのは難しい、といったようなときには治療を始めて、今回の本題にも関わるお薬の服用も選択肢に入って来ます。
ADHD治療薬「コンサータ」と世界的な供給不足
ADHDの治療に用いられる代表的な薬の一つがコンサータです。コンサータは1日1回の服用で、不注意や多動性を和らげ、集中しやすい状態を作る効果があります。
しかし、仕組みとしては中枢神経に作用するため厳格な管理下で処方され、登録されたお医者さんと薬局のみで取り扱われており、処方されるのもしっかりと診断される必要があるなど、流通が厳しく制限されています。
そして現在、このコンサータは日本だけでなく世界的に需要が増加しており、供給不足が続いているという現状があるのです。背景には需要の急増に加え、国ごとの薬価差など複数の要因があると考えられています。
具体的に現在の自分の薬局でいうと、2025年10月あたりから、発注しても完全に入ってこない状態になっています。
製造元の発表では、今年1月時点では限定出荷状態で一部の薬局のみ流通するよう絞っており、改善にはまだ時間がかかるとのことでした。
漢方薬の役割と治療の考え方の違い
最後に今回の本題となる、コンサータの代替としての漢方薬ですが、これは結論から言うと完全に同じ作用を持つ漢方薬は存在しません。
コメントにもあるように、西洋医学が原因に対してピンポイントに作用するのに対し、東洋医学は体全体のバランスや症状に対して働きかけるという違いがあるためです。
ただし、コメントにもあったようにうつや不眠症状の一部に対して補助的に用いられることはあり、ADHDが原因で起こる症状に対して使うという意味では、有用な部分もあります。
例えば酸棗仁湯(さんそうにんとう)は不眠の症状が強い場合や、五苓散(ごれいさん)は天候に過敏に反応してしまって不調になるという場合には有効です。
抑肝散(よくかんさん)や抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)はイライラや興奮、緊張に効果があります。
さらに、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という漢方は、不安や気分の高ぶりに用いられることがあります。
コンサータのような働きをする漢方薬はありませんが、起きている症状とその度合いを考えてみると、効果的に使うことも可能ですので、検討してみてください。
