Voicy更新しましたっ!
今回はいよいよ現実味を帯びて来たcovid-19の「飲み薬」の最新情報と前回に続いてオミクロン株について。
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メルク社がcovid-19用飲み薬を開発
以前何度か触れた、イベルメクチンの製造を手掛けていたメルク社が新たに、covid-19用飲み薬として「モルヌピラビル」と言うお薬を開発しました。
これがイギリスで11月4日に承認、使用が開始され、アメリカでは先日12月1日に緊急使用許可という形で、対象は限定されているものの実際に治療に用いるようになりました。
いずれも特例承認に近い形ですが、ついにcovid-19の飲み薬の実用化が現実味を帯びて来ています。
安全性と有効性のバランスが不透明
まず、アメリカでのモルヌピラビルの対象者ですが「重症化リスクが高い、現在軽症の方、もしくは中等症の方」に限定されています。
例えばすでに糖尿病があるとか、喘息の発作があって肺や気管支に負担がかかっている方は重症化のリスクが高い方となります。
もう一つの中等症の方は、現在呼吸器、酸素吸入を使用している方が対象となっています。
対象がある程度限定されていますが、この理由は安全性と有効性のバランスが、現状では不透明なためです。
例えば妊産婦さんへの影響、安全性は分かっておらず、臨床試験も難しいためデータが少なく、使用は見送りとなりました。
また、そもそもモルヌピラビルの有効性がそれほど高いものではなかった、ということも一因のようです。
当初、このお薬によって入院や死亡のリスクが5割ほど減らせる、治療の効果があると言われていましたが、データを解析していくにつれて、5割ではなく3割程度にとどまる可能性が高い、となったのです。
このことにより、covid-19による症状があっても特に問題がない方、持病が無くリスクが低い方であれば自力で治る可能性が十分あるためこのお薬を使わず、逆に何らかの持病がある方や高齢者の方など、重症化のリスクが高い方には重症化を防ぐために投与していく、という方針になったのです。
ちなみに治療薬は塩野義製薬も開発中で、現在は臨床試験の最終段階です。
これを経て、承認されるかどうかというところですので、実用化までではもうしばらくかかりますが、covid-19の治療薬は着実に進んでいる最中にあります。
オミクロン株に治療薬は効く?
次に前回に続いてオミクロン株についてですが、まず前述のような飲み薬はオミクロン株をはじめとした変異株に効くのか、ということですが、これは充分効く可能性があります。
しかし、現在治療に用いられている抗体カクテル療法は、これまでよりも効きづらい可能性があるとされています。
オミクロン株自体まだ新しく、確かなことはあまり言えませんが、前述のような飲み薬と、ワクチンや抗体カクテル療法とでは、効くポイントとなる部分が変わるのです。
どういうことかと言うと、ワクチンと抗体カクテル療法は、前回触れたウイルスの「スパイクタンパク」にくっついて働く、という仕組みです。
そのスパイクタンパクが従来のと30ヶ所変わっているオミクロン株には、従来型のように働くかはわからず、効果が薄い可能性がある、という意味です。
一方の前述のような軽症者用の飲み薬は、ウイルスが体内で増えないようにするという働きをします。
ウイルスを倒すのはあくまでも体の免疫システムですので、水分と栄養をとって安静にしていれば自然と治っていく、という流れです。
逆に言えば体内にウイルスが多く、重症している段階だとこれは効かないため、レムデシビルのような重症者向けの用のお薬を用います。
ちなみにモルヌピラビルは仕組みはインフルエンザのお薬として10年以上前から実用化されているタミフルと同じような仕組みで、飲み方も同じという特徴があります。
ワクチンと治療薬がセットになるまで
2021年末の今、ワクチンが世界的に行き渡り、治療薬も少しずつ実用化が見え始めてきました。
去年の初頭、covid-19の最初期のころに「ワクチンと治療薬がセットになって行き渡れば収束する」とみられていましたが、ようやく現実味を帯びてきました。
ただ、変異株は依然として脅威であり、実際に今要注意となっているオミクロン株も、分からないことが多く、油断はできません。
前回や前項でも触れたように、スパイクタンパクが30ヶ所以上変わっていることは確認済みで、ワクチンが効きづらい可能性は充分あります。
一部の報道では、感染力は強いものの重症化はあまりしない、なども言われていますが、確かなデータはまだ集まっていません。
治療薬が出来つつあり、終わりが見え始めているのは確かですが、依然として油断はできないですので、今一度基本的な感染対策を、しっかりとしていきましょう。