冬に流行る子供の感染症って何?#860

冬に気をつけたいお子さんの感染症

新年あけましておめでとうございます。2025年、最初の配信になります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2025年1回目の配信は、感染症についてです。

今年の冬はインフルエンザの流行が例年に比べて極めて早く、さらに感染者数が急激に増えています。

インフルエンザの感染者数は、今回の年末年始が過去10年で最も多い、ピークになっている状況で、全国的に非常に危険な状態になっているのです。

当然、コロナウイルスもあり、大人やお年寄りの方はもとより、特にお子さんたちに注意して、冬を乗り切っていただければと思います

今回は気をつけるべき病気として、インフルエンザ、ノロウイルス、RSウイルスの三つについて、これまでも度々触れておりますが、今一度ご紹介していきます。

特に注意したい3つのウイルス

まず、インフルエンザについてですが、症状としては急な高熱が主で、特に子供や高齢者、基礎疾患のある方は重篤化するリスクが高いウイルスです。インフルエンザ脳症などの合併症もあるため、出来るだけ早めに対処することが重要です。

次に、ノロウイルスについては非常に感染力が強いのが特徴で、生きたウイルスを5個吸い込んだだけで発症すると言われているほどです。

症状は吐き気や激しい下痢があり、ノロウイルスに対する特効薬はなく、体内からウイルスを排出することが治療の基本です。

最後のRSウイルスは、特に乳幼児にとって危険なウイルスです。一般的には鼻水や鼻詰まり、咳といった軽い風邪のような症状で済むことが多いですが、場合によっては気管支炎や肺炎を引き起こすこともあり、特に6ヶ月未満の乳児にとっては重篤化するリスクが高いため、注意が必要です。

およそ1歳になるまでには半数の割合で、2歳になるまでにはほぼ全員が感染するとされています。

RSウイルスは感染力がインフルエンザと同等ほどに高く、飛沫感染でも充分感染しますので、注意してください。

それぞれの治療方法

次に、それぞれのウイルスへの治療についてですが、インフルエンザには特効薬がいくつか存在します。

最もよく知られているのは、ゾフルーザや、タミフルといったウイルス薬で、インフルエンザウイルスのお薬になります。

ゾフルーザは1回の服用で治療を完了できる点が特徴で、タミフルは特に小児向けにドライシロップとしても提供されています。

ちなみにインフルエンザ用のお薬では、目がうつろになったり、不自然にボーっとしたりするなど、異常行動が起こると言われていますが、それはインフルエンザ特有の極めて高い発熱などによって起こっているもので、お薬によるものではありません。

逆に言えば、タミフルなどのお薬を飲んでいなくても、感染して発症している場合では起こり得ることですので、もし気になった場合は、目を離さないようにして、症状が収まるまで付き添うのが安全です。

次にノロウイルスについてですが、ノロウイルスに対する特効薬は存在しません。

治療の基本は、体内からウイルスを排出することに尽るため、下痢止めの使用は避けてください。水分補給をしながら、ウイルスを出し切ることで治療していきます。もし水分補給も難しい場合は、病院で点滴を受けて、脱水症状を防いでウイルスを排出していきます。

最後のRSウイルスについても、特効薬は無いため対症療法が中心となります。

咳止めや鼻水止めなどの薬を使用しながら、体の免疫力でウイルスを退治することが主な治療になります。もし6か月未満の乳児で感染した場合は、気管支炎や肺炎のリスクがあるため、後述の感染予防対策などは特に注意して行ってください。

感染予防と消毒をこまめに念入りに

最後に、様々なウイルスが流行している今、一般的な感染対策は何よりも欠かせません。

インフルエンザやノロウイルス、そしてRSウイルスは、いずれも飛沫感染や接触感染を通じて広がります。

まずは換気が重要ですが、特に冬場は寒さから室内が閉め切りがちになるため、とにかくこまめに、意識して窓を開け閉めして、換気を十分に行ってください。

そして次に、手洗いや手指の消毒も、基本的な対策になります。

いずれのウイルスも、咳やくしゃみからの飛沫が手や物に付着することで感染が広がります。まずは食事前やトイレ後には必ず手を洗って、共有物があればこまめに消毒することが効果的です。

例えば、手すりやドアノブなど、頻繁に触れる場所は、消毒を徹底することが望ましいです。

ちなみにノロウイルスは、前述のように非常に感染力が強く、少量のウイルスでも感染を引き起こすうえに、通常のアルコール消毒では効果が不十分なため、有機酸が含まれたアイテムがあると便利です。

製品名で言うと、キッチンハイターを水500ミリリットルのペットボトルにキャップ1杯分入れて混ぜるだけで充分効果的です。

吐いたものなどを処理する際は、その上に新聞紙をかけて飛沫を防いで、その上からキッチンハイターを混ぜた水などをかけて処理すると、飛沫が飛ばないためおすすめです。

もし家庭内にお子さんがいたり、高齢者の方が居る場合は、こうした感染対策を知っておいていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属