ダイエットに効果的な漢方薬
今回も前回前々回に続いて、ダイエットのお薬についてのお話ですが、今回は漢方薬についてです。
TikTokライブでも漢方についてしばしばコメントが来ており、実際にドラッグストアなどではいくつか、お腹周りの脂肪に、などと書かれた漢方薬を見かけることがあると思います。
中でも代表的なものが防風通聖散(ぼうふうつうせいさん)、というものだと思いますが、実はそれだけではなく、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、大柴胡湯(だいさいことう)といったものもがあります。
今回はこの3種類を中心とした、ダイエットの漢方薬についてまとめて行きたいと思います。
防風通聖散・防己黄耆湯・大柴胡湯の違い
この3種類の効果を簡単に分けると、まず自分の体格ががっしりしていてお腹周りが気になってきたとか、便秘がちになってきた、という方には防風通聖散が適しています。
疲れやすく、汗をかきやすくてむくみやすいような、いわゆる水太りの傾向がある方には防已黄耆湯が使われます。
比較的体力があって、脇腹からみぞおちにかけて張りがあって、ストレスによる食べ過ぎが気になるという場合では大柴胡湯がおすすめです。
上記はあくまでも非常に平たく説明したものですので、これだけで自分にはこれが適していると判断するのは避けてください。
大前提として漢方のお薬は飲む人の体格や体力、普段の便通、汗のかき方、むくみ、お腹の状態といった、さまざまな要素を総合して、その人に最適な調合、処方を考えていくものです。
ですので、友人が防風通聖散を飲んで痩せたからといった、自分も飲めば効果が出る、というものではありません。
さらに言うと、その漢方が体質に合っていれば必ず痩せる、というわけでもありません。
漢方薬も西洋薬と同じくエビデンスはありますが、体質に合えば必ず体重が落ちると証明されているわけではありませんので注意してください。
漢方薬でのダイエットの実験結果
以上を踏まえて、、実際に漢方薬で発表された、ダイエットの研究結果についてご紹介すると、やはり比較的多いのが防風通聖散で、2022年には7つの試験、計679人をまとめた研究があります。
簡単に言うと防風通聖散を使用した人は、使用していない人と比べてBMIが平均で0.52低下したというものです。
見方を変えれば、BMIが0.52下がったというのは、それだけで何kgも何十kgも落ちるような大きな効果ではないと言えます。
またこれは、ウエストサイズについては明確な差が確認されないなど、研究ごとの結果にもばらつきがあります。
防已黄耆湯については、BMI25以上の人111人を対象に、8週間比較したという研究がありますが、これでは全体として体重が大きく減ることを明確に示す結果はありませんでした。
つまり、水太りなら防已黄耆湯を飲めば痩せる、とまでは言えないということです。
大柴胡湯については、防風通聖散と比較した研究があり、防風通聖散ではBMIが低下した一方で、大柴胡湯では明らかなBMIの変化が確認されなかった、という報告があります。この研究結果だけで、大柴胡湯に効果がないと決めつけることはできませんが、少なくとも大きな減量効果を期待できるほどのデータがそろっているわけではない、というのは確かと言えます。
漢方のダイエットのお薬は、3か月や4か月、半年と飲み続ければ体質が変わって効果が出る、というものでもなく、たとえ体重が減ると確認できても、長く使うほどその効果が積み上がっていくとは限りませんので、こちらも注意が必要です。
漢方薬の副作用
漢方薬というと生薬で自然由来なため、長期間飲み続けてもそれほど危険ではない、とお思いの方もいると思いますが、漢方薬であっても副作用は存在します。
例えば、防風通聖散に含まれる生薬の中には麻黄(まおう)と甘草(かんぞう)が含まれていますが、麻黄によって動悸や発汗、眠りにくさなどが起こることがあり、甘草も長期間使用するとむくみや血圧上昇などにつながることがあります。
また、大黄(だいおう)と山査子(さんざし)を含む漢方薬や、刺激性の下剤を長期で使用すると、大腸黒皮症と呼ばれる状態が起こることがあります。これは大腸の粘膜が茶色から黒っぽく変化するもので、吸収への影響ははっきりとは不明ですが、単に色が変わっただけとは考えないほうが良いかと思います。
さらに、防風通聖散などを長期使用すると、腸間膜静脈硬化症という副作用も注意が必要です。
腸の静脈が硬くなったり、石灰化したりすることで、腸の血流が悪くなってしまうことで、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などを慢性的に繰り返すようになり、重症化すると手術が必要になる場合もあります。
このように、漢方薬だから長く使っても大丈夫というわけではなく、効いているか分からないけれど、飲まないよりはいいだろう、とサプリメントのような感覚で漫然と続けるのは避けてください。
飲み始めから2週間から1か月で判断を
最後に、漢方薬に限ったことではありませんが、最初から何か月も何年も飲み続けようとするのではなく、まずは2週間ほどで変化があるかを確認して、長くても1か月程度を一つの区切りとして、その後も続ける必要があるのかを考えてみるのが安全でベストな飲み方になります。
その上で、効いていて安全そうであればもう少し飲んでみて、効きが悪いと思ったら飲むのを辞めるようにするとのが一番良いかと思います。
漢方薬について興味があれば、詳しいお医者さんや薬剤師に相談していただければと思います。
